スローライフを楽しもう

少年野球の危機的状況! 「昭和の野球」からの脱却が必要では⁉

ヒロポン

少年野球をする子供たちが減っていて寂しいですね。

原因の1つに、怒鳴りつける旧世代の指導方法が問題になっています。その為、色々な活動が草の根的に始められていますよ。直近では、MLBの大谷選手がすべての小学校に3個のグローブを送ったことは、素晴らしい出来事ですね。

ヒロジー
ヒロポン

そうなんです。怒って従えようの考えは今では通用しません。大谷選手の言葉『野球をしようぜ』の様に、心の底から野球がしたくなる動機付けが大切ですね。


ポチッとお願いします

少年野球を取り巻く環境

新型コロナ禍の問題もあり、野球界の競技人口の問題が深刻になっています。下記グラフは、中学校の各種競技人数の推移と今後の予想を表しています。

現時点(2022年)で、軟式野球は、2009年に比べて半数以下の15万人に落ち込んで、卓球にも抜かれている状況です。これは、子供の人数削減の影響というよりも明らかに野球という競技に魅力を感じていないと考えた方が良いですね。そして、オリンピック種目にも選ばれないこともあり、世界的な認知度も低くなっています。

この状況から少年野球の将来に危機感を抱く4人の野球人の方の意見をまとめてみます。

【最短翌日配送】スポーツデポの公式オンラインストア

上田誠さん(慶應義塾高校前監督)の思い

<競技人口の現況>

所属団体競技人口の推移
高校野球(高野連)2015年頃から新入部員が激減。毎年1万人くらい新入部員が減っていた時期もあり。
中学軟式野球(中体連)50%減(上記グラフ参照)
学童野球神奈川県:2000チーム(2022年) ⇒ 約500チーム(2022年) 全国的にも同様の傾向

「学童野球・中体連・高野連は運命共同体。そこでの野球の底辺を支える学童野球は、危機的状況にあります。学童野球を仕切る全日本軟式野球連盟は、実働部隊と資金の両面で充実しているとは言えません。そして全国の1万1000以上の支部が、中央からのガバナンスが利いた状態で学童野球を運営しているとは言い難い、というのが現状です。」

<学童野球の危機的状況の原因>

項目     内容
1日程が過密試合過多(1年間に200試合以上しているチームあり、ローカル大会への規制がない)
2怪我が多いスポーツ障害の増加(小学生でトミージョン手術もあり、スポーツ医学の知識が指導者に乏しい)
3指導法が旧い指導者の旧態依然とした指導(罵声や長時間練習)
4方針が一方的勝利至上主義(すべてトーナメント、同じ選手ばかりが出場する)
5費用が掛かる野球用具の高騰(ビヨンドマックスのバットが約4万円。他競技の2~3倍の費用)
6保護者の負担お茶当番などの保護者の関わり方が時代遅れ
7行政に統一性がない他競技の上手な振興策(サッカーやバスケット、バドミントン)に遠く及ばない

<今後やらなければならないこと>

子供を守る施策

  • 球数制限
  • 年間試合数
  • 練習時間
  • シーズンオフ
  • 子どもに合ったルール改正 など

※上記内容を、協議・決定・実行のプロセスの整備が求められている。

野球界は、今まで人気があったので特に組織の改編などは行われず来ていた。その為、中央からのガバナンスが効かない状態になっている。サッカー界は、東京オリンピック後に極度の低迷期があったので、大改正が行われ奇麗なピラミッド状態が出来上がっている。野球界は、残念ながら各団体の連携ができていない。

オーディオブック配信サービス - audiobook.jp

大渕隆さん(北海道日本ハムファイターズ、GM補佐兼スカウト部長)の思い

全国のアマチュア野球の現状を見る中で、野球少年を取り巻く環境が極めて悪化していると危惧している。

最も懸念すべき問題

  1. 子どもの可能性を最大限発揮できる環境を、大人が用意できていない。
  2. 成果の急ぎすぎで、ゆっくり育てていない。
項目内容
現システム学童、中学、高校とその年代ごとにチャンピオンを作ろうとしている
  メリット一部のエリート選手や超〇〇級の選手は出てきている
  デメリット本来その後活躍できたかもしれない子どもが、次のステージで挑戦する希望を失わせる作業にもなっている
結果日本野球全体を見ると大きな損失となっている

野球は、高校野球、プロ野球等まだ人気が高い

その為、上表メリットであるエリート選手や超〇〇級の選手マスコミにも取り上げられ、期待される

反面、その陰で無理をした結果、ケガや燃え尽き症候群などで、止めていく選手も多いのが現状。

今後やるべき指導法

項目内容
野球の競技特性活躍する選手のタイプは多様(他の競技に比べ)であり、技術の高さを求められる
  成長の見極め成長(活躍)時期が個人によって異なるという特徴が明らかになっている
*現システムの早期の優劣判断の問題人材を喪失する仕組み
⇒やらなければならないこと『継続』こそ重要な育成ポイントである
⇒その為、幼少期での『楽しさの植えつけこそ、その選手がその後、継続する原動力でありえる
 もしプレーヤーを断念しても野球界全体に好循環を生む とても重要な作業

上記内容を達成するためには、

 ※その年代の指導者環境こそが将来の野球界のキーとなる

勝亦陽一さん(東京農業大学応用生物科学部准教授:スポーツ科学を研究)

少年期では、スポーツに参加し、楽しむ権利は平等であるべき。しかしながら、少年野球の現場では、そうにはなっていない

項目内容
少年野球の現場背が高く、早熟で、競技を早期に開始した選手が試合に多く出場している。
且つ、投手や捕手などの重要なポジションを担っている。
 同学年の中でも相対的に成長が遅い早生まれ(1~3月生まれ)の選手試合に出場する機会が少ない、野球から離脱する割合が高いなど、不利な状況
⇒ 何故そうなっているか?勝利至上主義、『今』ファーストがあります
  ***選手の潜在能力は、少年期にはわからず、高校生以降になって開花する選手もいる

野球に関わる大人の多くは、数多くの競技の中から野球を選択してくれた選手に、野球の楽しさを存分に味わってもらいたいと思っている。

 ※野球だけでなく、スポーツ界における『今』ファーストに起因した課題を解決するには、選手の将来ファースト』の普及が必要

【スタディサプリ】動画授業で苦手を克服

星川太輔さん(高性能弾道測定器「トラックマン」を日本野球に紹介)

僕が感じている一番大きな課題は、現在の(従来もそうですが)指導スタイルにある。

●現代の社会が求めている自ら考えて判断して行動できる人材と、野球の指導の現場が大きく乖離している。そこに強い危機感を感じている。

今の世界は、VUCAの時代(「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」)と言われる。オックスフォード大学のオズボーン教授が言う2030年に必要なスキルの上位10は以下となっている。

  1. 戦略的学習力
  2. 心理学
  3. 指導力
  4. 社会的洞察力
  5. 社会学・人類学
  6. 教育学
  7. 協調性
  8. 独創性
  9. 発想の豊かさ
  10. アクティブラーニング

「今の野球界の上意下達型の指導方法で、これらを身につけVUCAの時代に子どもたちが生き残り、世界で戦うことができるのか?」と疑問を投げかけている。

大人の問題では?

以上4人の方の意見をまとめると、問題が多い少年野球の環境、子どもの成長の多様性を認めていない、「今」の勝利を求める指導者これからの人材育成につながらない指導スタイル、となります。これらは全て大人の問題であります。子供達には関係ありません。

また、この4人は、2017年にFacebookにPFFC(Players' future-first Club)というプライベートグループを立ち上げ、『子どもの将来のために』という志ある方々と常時、意見交換をしている。全国各地で変革を実践しておられ、それらを1つに括ることで、相互にエネルギーやアイディアを共有し、大きな変革エネルギーに換えられないか? そう考えてこのグループを創設したそうです。いわば草の根活動です。メンバーは、選手、指導者、医師、理学療法士、研究者、ジャーナリスト、父母などさまざまな立場で野球、スポーツにかかわる人たちです。

昭和の野球を脱却する

前述のPFFCがリモートミーティングを行い、全国の指導者、野球人たちとの意見交換は活発になった印象はありますが、意見として下記があります。

「PFFCに集っている人たちは、野球界の現状をよく理解しているが、問題はここにいない人たちなのです」と痛烈。

昭和の野球」そのままに、罵声、怒声を浴びせたり、投げ込みなど過度な練習を強いたり、「勝利至上主義」に偏重した野球をする指導者は依然として存在しています。むしろそういう人たちの方がまだ「多数派」なのではないかという印象です。

私の経験でも、強い伝統あるチームにその傾向は強いように感じます。まさしく野球界と一緒ですね。実績があるところほど、変革が遅れるのです。

至極がもたらす、至福のひととき。blissful coffee(ブリスフルコーヒー)

まとめ

野球界にも、独立リーグがあるけどもそれぞれが独立して、プロの扱いですが繋がりは薄いようです。サッカーのピラミッド構造とは違い、野球界は相互に独立性はあるが、統一したガバナンスは効きにくいと言えます。よって、指導方法などは、行き届かないことが多く、実績のあるクラブは良しとされる可能性は高いです。

それだけでも、課題は多そうです。

子供に関わる指導などは、実績のみならず子供たちの内面の成長を見守っていきたいですね。

ただ最近は、MLBのダルビッシュ投手が引っ張る感じで、日本の旧態依然とした重鎮の発言に疑問を呈してくれ、少し風穴があけられたような感じがします。また、MLBでの圧倒的な大谷選手の活躍で、その重鎮たちの発言が曇ってきました。要はあの方たちの常識を大谷選手が覆しているのです。

それこそ、今から新しい夜明けがくるかもしれません。じっくり勉強しながら考えていきたいと思いますね。