スポーツをするとき、自分の不甲斐なさに腹を立てることがあるのですが、これは良くないことでしょうか
自分への怒りはうまく使えれば、力を発揮できますよ
良いですね。自分は怒りっぽいので是非とも活用したいです
スポーツ及びビジネスの世界で、大切なのは “怒り” と “冷静な頭脳” を両立させることです。特に、冷静な頭脳が難しいですね。
まずはパワーアップからトライします
肉体のパフォーマンスは怒りによって向上
怒りの感情はどのように身体に作用するのでしょうか、脳科学の見地から見ていきましょう。
自然科学研究機構生理学研究所の柿木隆介教授が説明するには「怒るということは動物の本能です。敵に襲われたとき、戦うもしくは逃げるときは全力なのです。生存するためには絶対に必要な本能です」と言っています。
項目 | 内容 |
怒るという行為 | 動物の本能 |
怒りの感情の時、分泌するホルモン | 「ノルアドレナリン」と「アドレナリン」 (脳からでる) |
ノルアドレナリン 別名、“怒りホルモン” | 脳に作用 :怒りの感情をピークに持っていく物質 |
アドレナリン | 身体に作用:筋肉と心臓の働きを向上させて、身体能力を高める ⇒心拍数が増え、血圧が高まり、たくさんの血液が流れるようになる |
スポーツとは、基本的に戦いといえるので、「身体能力とモチベーションを高めた状態を保つ」 ことが大切。よって、怒りはスポーツにとって、プラスの要素として働くこともあります。
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大切なのは「怒り」と「冷静な頭脳」の両立
人間が怒ったときや追い詰められたときに、本能的に身体的なパフォーマンスは上昇します。“火事場の馬鹿力”の言葉の通りです。パワーが重視される短距離走やボクシングなどには有効に働く面もあります。しかしながら、怒りは駆け引きが必要なときには、不向きで必要ありません。冷静さを欠いて負けることは、よくあることです。
柿木教授が説明するように、長距離走で怒りに身を任せて序盤から飛ばしてしまったら、すぐにバテてしまいます。怒りの感情は身体能力にはプラスに働く一方で、冷静な判断を下す脳にとってはマイナスに働きます。つまり、肝要なのは“怒り”と“冷静な頭脳”を両立させることです。
項目 | スポーツ種類 | 理由 |
怒りが有効な種目 | 短距離走、ボクシング、レスリング、ウェートリフティング | 瞬発力が必要で、身体的なパワーで差が付く |
怒りが不向きな種目 | 長距離走、卓球 などの球技 | 瞬間の力よりも冷静な頭脳が必要 |
八つ当たりで故意にパフォーマンスを上げる選手がいる
怒るということは生物として必要な本能ですが、社会性が求められる人間にとってはマイナスに働く面も出てきます。
また、スポーツの試合で不本意な結果になると、道具に八つ当たりをする選手が見られます。そんな行動でパフォーマンスが高まる選手がいます。八つ当たりすることで最大限の身体能力を発揮できるなら、八つ当たりがその人のやり方なのです。周囲の人間特に相手選手にとっては、いい迷惑です。そういう相手の対処法は、こちらです。
“勝てば官軍”という言葉があるとおり、スポーツの世界では勝者こそが絶対というドライな面があるのも事実です。これは、日本ではなかなか受け入れ難いところではあります。
脳のメカニズム
身体反応は、脳が反応し脳内ホルモンが分泌されて恐れや怖さを感じます。
人間の感情を作り出しているのは脳で、下記の2種類があります。
☆動物的な感情
☆人間独自の感情
感情の種類 | 内容 | 具体例 |
動物的な感情(情動) | 本能的な欲求が満たされる快感、浸されない不快感にもとずく喜怒哀楽や恐怖など | 空腹を満たされたときに喜び、食べ物を取り上げられた時の怒り |
人間独自の感情 | 人間だけが持つ快感や幸福感と関わりがある | 人を尊敬したり憎んだりする心。幸福感を感じる心 |
情動の発生メカニズム
情動を司る脳は、視床下部と扁桃核であります。視床下部は食欲、性欲、睡眠欲など本能を司り、扁桃核が状況に応じて判断を下します。
【情動脳ループ】
扁桃核が喜びや怒りを判断すると、その感情により脳内の神経伝達物質が反応する
〇快楽を伝えるドーパミン
〇恐怖を伝えるアドレナリン
〇怒りや覚醒を伝えるノルアドレナリン
が分泌されます。
これらは神経伝達物質がコントロールし、役割が分裂されるのです。
その役割は3つの系統がありA・B・Cの3つの系列に分かれています。
系列 | 役割 |
A | A1~A7: ノルアドレナリンの分泌 A6神経系列・・・怒り A8~16: ドーパミンの分泌 A10神経系列・・・人間だけが持つ快感や幸福感と関わりがある |
B | A系列、C系列の分泌を抑制する |
C | アドレナリンの分泌 身体に作用:筋肉と心臓の働きを向上させて、身体能力を高める |
『幸せな気持ち』はドーパミンによるもの。恋愛で相手と一緒にいて感じる幸せな気持ちは、実はドーパミンが大量に放出されているのです。
中脳から前頭連合野へ伸びているA10神経の周囲には、”オートリセプター”と呼ばれる受容器(リセプター)があります。
まとめ
怒りは、動物の本能で体のパワーを増大させます。俗にいう“頭に血が上る”状態です。しかしながら、それだけに任せていると繊細な判断が必要な時には、対応が難しくなります。その場合は、人間独自の感情が必要になってきます。
本能と感情をうまくコントロールすることが肝要になります。だから、スポーツはやるのも見るのも面白いのかもしれませんね。