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大谷翔平選手のモチベーションを引き出す “目標達成シート” とは?

ヒロポン

大谷翔平選手が高校時代に作成した“目標達成シート” とはどんな物なのでしょうか

原型は、原田メソッドというマンダラ図のような形をしています。9✕9に区分けしたマスの中央に目標を書きます。それを達成するために何をするかを周囲に書き込んでいくのです。

ヒロおじ
ヒロポン

何か難しそうですね。分かりやすく教えて下さい。

目標を達成するための要素を描いたマンダラ

米大リーグで歴史的な活躍を見せるエンゼルス・大谷翔平選手の成長過程に欠かせなかったのが “目標達成シート” です。「ドラフト1位で8球団から指名を受ける」という目標と、そこに至るために必要な要素を9×9=81個のマスに細かく書き出したマンダラとして有名になったツールです。

“目標達成シート” は、2003年ごろ原田隆史さんが考案した教育法「原田メソッド」の中の「オープンウィンドウ64」というツールです。このツールは、クローバ経営研究所の松村寧雄氏が考案した「マンダラチャート」を参考にしたといわれています。

※「マンダラチャート」は株式会社クローバ経営研究所の登録商標です。

この目標達成シートのマンダラのマスに書き込まれたことは、自分はこうして真ん中の「目標」に辿り着くというイメージです。

マンダラの書き方

目標達成シートは、マンダラ構造の3×3の9マスがさらに周囲に8個あり、縦9列×横9行の81マスのシートに書いていきます。

  1. 真ん中の9マスを完成させる
  2. 中央に書いた周囲の各要素を周りの9マスの真ん中にコピーして書きます
  3. 周囲の各要素に対して、自分は何をすればいいのかを深く考えて書いていきます

<マンダラ図>

大谷選手の目標達成シートを参考にして、なぜマンダラが有効であるかを説明します。

<目標達成のマンダラ> 中央マスが目標

体づくり 
コントロールキレ   
メンタルドラ1
8球団
スピード
160km/h
人間性
変化球

<一般的な目標達成のリスト形式>

目標: ドラ18球団      

  • 体づくり _⤴
  • コントロール_⤴
  • キレ    __⤴
  • メンタル   __⤴
  • スピード 160km/h_⤴
  • 人間性    ____⤴
  • 運      _____⤴
  • 変化球    ______⤴

上記の様に、右側は従来のリスト形式で段落になっています。目標の字から、だんだんやる項目が離れていきます。そしてやる順番はどうしても上からになります。その点、左側は中央の目標から全て同じ距離にあり、重要度も同じに感じます。どこから始めてもいい、出来るところから始めようという考えになりやすいですね。

またマス同士の関係性もわかるので、同時に2つの計画を実行できるかもしれません。結果的にマンダラ構造の方がリスト形式より速く、楽に、目標達成ができると考えられます。この考え方を「右脳思考」といいます。右脳は、今から先のことを考える、目に見えないことを考える働きがあると言われています。

作る場合の注意点

注意点

  1. 適切な目標設定
  2. 期限の設定
  3. すべてのマスを埋める
  4. 実行できるよう意識する

1.適切な目標を設定する

目標を設定する際は決して背伸びせず、客観的に実力を見極めて設定します。人は目標を達成することで成功体験を積み重ね、大きな自信につなげます。そのため無理に高い目標を達成すると、成功体験が得られず、結果としてモチベーションを下げる恐れが出てきます。

2.期限を設定する

目標にタイムリミットを設けると効率が意識されるため、計画性を持って取り組めます。意識しないと、どんどん後回しになる可能性が出てくるのです。

3.取り敢えず、すべてのマスを埋める

マスを埋めるための要素を考えること自体が、新しい発想を生み出すチャンスでもあります。

4.実行できるよう意識する

マンダラの振り返りを日々の日課として習慣化すれば、目標にどれだけ近づけたかの進捗が分かり、モチベーションアップにもつなげられます。

目標達成シートは何度でも修正可能です。新しい気付きや、不足している要素を書き足したりして、日々ブラッシュアップを心掛けましょう。

<参考> 大谷選手の高1での目標達成シート

マンダラの効果

マンダラを使うと下記内容に効果があります。

マンダラの効果

  1. 今の自分と目標の全体が一目でわかる
  2. マス同士の関係性・つながりがわかる
  3. 右脳思考、これまで気付かなかった新しいアイデアを生み出せる
  4. やみくもにやらない
  5. 苦行をしない
  6. 目標を達成する

1.今の自分と目標の全体が一目でわかる

実際に書こうと思えば、今の自分を見つめ、深く考えなければなりません。大谷選手の目標達成シートをそのまま書いてみても非常に参考になります。大谷選手のことがよくわかるようになります。

2.マス同士の関係性・つながりがわかる

リスト形式だと気づき難く、分かり難いかもしれませんが、マンダラだと気づけます。大谷選手のマンダラにも同じ項目のマスがいくつかありますし、その周辺にも関係性があるマスを発見することができます。このマスを実行すれば、目標に速く近づくことができるでしょう。

3.右脳思考、これまで気付かなかった新しいアイデアを生み出せる

マスがあるから埋まります。アイデア、気づき、発見が頭に思い浮かびます。リスト形式では書けないけれども、マンダラだったら、マスがあるので埋めようとします。目標を達成するための計画が、目標の近くに書いてある方が計画を実行に移しやすいです。これも右脳思考です。

4.やみくもにやらない

目標達成シートのマンダラに書いて終わりではありません。マンダラに書いた項目(計画)を実行します。実行するときに、やみくもにやらないことです。全てのマスには関連性とつながりがあります。項目の関連性とつながりを見つけて実行します。

5.苦行をしない

目標達成シートに書き出した項目は、自分が考えて書き出した、目標に辿り着くための道のりです。シートに書いたときのイメージを思い出して、目標達成に必要なことだけを実行して積み重ねます。いたずらに、体や心を痛めつけてはいけません。

6.目標を達成する

小さな努力を積み重ね、ついには目標を達成することができるのです。


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大人の意識改革

少年少女の育成でまず改革すべきものは、親をはじめとした周囲の大人です。とくに指導者の意識改革は急務だと、原田さんは警鐘を鳴らしています。

2021年の東京五輪を見て、若年層の競技に対する考え方が変わってきていることを感じました。スケートボード競技では失敗を「いいチャレンジ」と称え、敗れた選手をメダリストが担ぎ上げて喜んでいました。競技は敵と一戦交えるものではなく、仲間と楽しむものだという思いがあふれていました。「野球にはそういう意識がまだまだ足りない。だから伸びしろ十分ですよ」と指摘します。

しかし、今回のWBCでは大谷選手を筆頭に「楽しかった」と今まででは聞いたことのないことを多くの選手が発言されていました。野球も変わる気配を感じますね。

目標達成を後押しする “原田メソッド” を取り入れているチームや選手はスポーツ界にも多いです。陸上の多田修平選手、「チアダン」のタイトルで映画、ドラマ化もされた福井商業高のチアリーディングチーム、ラグビーの清宮克幸監督や五郎丸歩選手など多数。

成功している選手に共通するのは、自ら主体的に動けることです。そのような選手を増やすためにも、スポーツの目的を転換する必要があります。

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いつもニコニコ、大谷翔平選手の笑顔を生む『絆』の存在

スポーツの目的を変えるとはどういうことか。これまでのように、試合に臨むにあたって「敵をやっつけよう」という考え方でいると、脳内では興奮状態を作るドーパミンやテストステロンが分泌され交感神経系が働く。ある説として「日本のスポーツ選手の引退が早いのは、ドーパミン優位でいすぎるから」と言われています。勝ち続けた選手もあるとき燃え尽き、自律神経失調症やうつ病に陥るケースが多いと言われています。外発的モチベーションですね。

一方で「好きだから、仲間によろこんでもらいたいからやる」という考え方(内発的モチベーション)だと、精神を安定させるオキシトシン、セロトニンが分泌され副交感神経系が働く。興奮とリラックスをうまく混ぜていくので、並外れた集中力を発揮できる『ゾーン』に入り結果も出るようになる。さらに、成功体験から幸福感がでてくるのです。いつもニコニコして、楽しそうにプレーしている大谷選手の姿は正しくそうですね。

さらに絆というか、多くの方に助けてもらい、感謝をすると、セロトニンが分泌されます。大谷選手がチーム内の団結を強め、絆を作っていくことは、脳科学的にも正しいのです。今回のWBCでの侍JAPANが実証してくれました。

大谷選手は高校時代に計16枚のマンダラを書いたそうです。その最後の1枚は、メソッドを考案した原田さんもうなるほどの完成度を誇ります。それぞれの目標に対して、栄養面は母・加代子さん、技術面は花巻東高の佐々木洋監督などと、達成に導く責任者を明記していたそうです。意図したことではないのかもしれませんが、成功へのチームと、皆が幸福になるシステムを作り上げていたのかもしれませんね。憶測ですが、その中には通訳の一平さんの存在も当然入っているのでしょうね。

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まとめ

今回のWBC優勝に大きく貢献した大谷翔平選手は、正しく内発的モチベーションの賜物ですね。オリンピックでの優勝者が、燃え尽き症候群になり不調をきたす例は多くあります。しかしながら、大谷選手は、あれだけのパフォーマンスを挙げたにも関わらず、もう3年後の次のWBCへの参加も言及しています。外発的モチベーションではあり得ないですね。

やはり指導者は、目的達成シートを活用して、内発的モチベーションを身に付けられるようにしていって欲しいですね。第2、第3の大谷選手を期待します。