日本の企業で大谷翔平さんみたいなスーパースターは出てくるのでしょうか?
難しいかも知れませんね。企業がどれだけ社員を自由に働かせることができるかが肝かもしれませんね。
今後、話題になってきそうですね。少し詳細を教えて下さい。
これから望まれる組織とは
大谷翔平選手は投打で異次元のパフォーマンスを披露し、「二刀流」で日本のみならず全米の野球ファンを魅了しています。
この活躍は、本人の意志とたゆまぬ努力の賜物だと思います。しかし、彼を見守ってきた球団や監督をはじめ、周囲の方々の環境が影響を与えていることも事実です。そこで、環境について分析してみることにより、旧来型雇用が染みついた日本の企業組織に問題があるかどうかが分かると思います。
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ムーンショット目標とは
「本当にやりたいことを口にしたら、そんなことできっこないと人から笑われた」など、自分や誰かの持つ夢や目標が、想像もつかないほど大きなとき、“ばかばかしい夢物語だ” とか “非現実的な妄想” などと、否定的に見られてしまうことはありませんか。
しかしながら最近は、壮大な夢や目標こそが人々を奮い立たせ、現実の困難な問題を解決する方法だとする考えが広がりつつあります。にわかに信じられませんが、それが「ムーンショット目標」と言われています。大谷選手が掲げた『二刀流』は、まぎれもなくムーンショット目標です。それも、前代未聞の大きなムーンショット目標です。
ムーンショットとは
語源は、1961年、ケネディ大統領は「10年以内に人間を月に着陸させ、安全に地球に帰還させる」という文字どおり前代未聞の計画を発表。このときのスピーチに端を発しています。
☞ “月へ向かってロケットを打ち上げる” = “困難だが実現すれば大きなインパクトのあるワクワクする壮大な目標や挑戦” を指す意味
それから半世紀以上経ったいま、「ムーンショット」という言葉が、シリコンバレーの企業の間で使われ始めるようになりました。ムーンショット目標を取り入れている有名な企業が グーグル です。
今までの延長のような考え方ばかりしていては成長に限りがある。それよりも、現状を飛躍的に変えるような、まだ誰も考えたことのないようなことを目指にしたほうが大きな成長が見込める。ITの巨人が「ムーンショット目標」を設定するのは、飛躍的な成長を意図的に促すためなのです。
大谷翔平選手はモチベーション3.0の申し子
ムーンショット目標を達成するうえで注目を集める「モチベーション3.0」という概念があります。作家、ダニエル・ピンクの著書で提示され、『人の動機にも、コンピューターと同じように“基本ソフト”がある』と解説されています。
人の動機とは
- 「モチベーション1.0」・・・生存を目的とする生理的なモチベーション
- 「モチベーション2.0」・・・功績をあげれば報酬を得て、できなければ罰を受ける「信賞必罰」的な考えに従ったモチベーション:外発的な動機
- 「モチベーション3.0」・・・自らの内側から湧き出るやる気に基づいたモチベーション:内発的な動機
従来の多くの企業で取り入れられてきた・・・「モチベーション2.0」の考え方
●成果に対してお金やモノを与えるという条件を提示してやる気を引き出す方法。仕事は多くの人にとって収入を得るためのもの。
●デメリット・・・報酬という条件を提示されて得られる動機は、外部から与えられるものであり与えられれば満足し、やる気の持続性に欠ける。
理想とする企業で取り入れられるもの ・・・「モチベーション3.0」の考え方
●内発的に動機づけされた人を動かし得るパフォーマンスで極めて重要な概念。身に付け難いが持続性がある。
★メジャーリーグの大谷選手の動機づけ
- 多額の報酬を手にする(=外発的動機づけ)ことに、あまり関心を示さない
- 自分の夢を追いかけるという動機(=内発的動機づけ)から、ムーンショットを達成
☞ これは、内発的動機づけが傑出した成果につながるという証拠
職場で、内発的な動機を引き出すためには何をすればいいのか
<内発的動機の引き出し方>
何をする | 具体的には |
「自律性」の提供 | 好きな仕事に割く時間を与える 自分で仕事の目標を決めさせる 仕事の判断を任せる 労働環境に選択肢を与える |
大谷選手(モチベーション3.0の申し子)の活躍も、彼個人の力だけでなく、支えてきた組織や見守り続けたトップの協力があってこそ
大谷選手のコメント
「僕が(日本ハムに)入団したときから、本当に栗山監督もいろいろなことを言われたと思いますし、本当にご迷惑をおかけしたんですけど、今こうして、周りの人々に少しずつ(二刀流を)受け入れてもらえているのも、栗山監督がいてくれたからです」と、見守ってくれていた監督への感謝を忘れていません
また、2021年を一緒に戦ったエンゼルスのマドン監督も大谷選手のよき理解者のひとりです。
マドン監督のコメント
「ショーヘイについて言えるのは、彼は二刀流を認める球団と契約したということだ。あとは彼のやりたいようにやらせるだけ。ああしろ、こうしろとうるさく言わないこと。コントロールしようという意識が強すぎるとダメだ。はたから見て言いたくなることは山ほどあっても、本人の気持ちを尊重しないといけない」と、自律性を尊重する発言をしています
反対のマイクロマネジメント
才能を信じて任せきる上司たちの存在が、大谷選手の成功を後押ししました。イチロー選手にも、同じような存在として故・仰木彬監督がいました。仰木監督はイチロー選手の独特なバッティングフォームをいじることなく見守り続けました。のちに、イチロー選手はメジャーリーグでMVPを獲得するなど大成功をしますが、その原点となったのが恩師の思考と行動だったのです。
結果 | 理由 |
大谷選手の「二刀流」の成功 | 彼の才能を信じて任せきる上司たちの存在 ⇔「二刀流は出来ない、やめさせろ」とほとんどの人が反対した |
イチロー選手の成功 | 故・仰木彬監督の存在:イチロー選手の独特なバッティングフォームをまったくいじることなく見守り続けた ⇔仰木さん以外は、フォームの矯正を提言していた。現に前任の監督はそうしていた。 |
日本における職場の実態は、上記とは真反対の「マイクロマネジメント」が支配
●上司が部下の仕事ぶりに過度に干渉する「マイクロマネジメント」が普通に行われている。
この方法が、正しい上司の姿と教えられているし、圧倒的に多数派。
マイクロマネジメントの例
・業務の進捗を細かく確認してくる
・小さなミスの原因について、詳細な報告を求める
・提出された書類に不備があった場合、フィードバックせず自分で直してしまう
・部下の出すメールの内容について、その文面にまで口を出す
・会議での発言の仕方について、会議後に叱責する
・目標が未達の場合はもちろん、達成した場合も達成した理由を資料で報告させる
☞日本の社会人の慣習:『報連相』は下手すれば上記に当て嵌まります。(参考ブログはこちら)
このようなことに思い当たるビジネスパーソンは少なくないはずです。
マイクロマネジメントが行われる背景・・・上司の「不安感」
●自分の責任の範囲内では、失敗を防ぎたい。自身の評価に傷をつけたくない。☞ 部下の業務に細かく目を配ることになる
★マイクロマネジメントがはびこる理由
☞ 部下にとって重要かという視点ではなく、上司(自分)にとって重要かという視点を優先する心理。
上司から、ことあるごとに干渉される部下の行く末
- 上司の顔色を伺いながら仕事をするようになる
- 自主性、自律性が奪われる
- 自分の判断で動いても上司から細かく指導されるため、だんだん自分で考えることをやめる
- 上司の言うとおりに動くようになる
- 指示待ちになり、生産性が大幅に下がる
上司の厳しい管理下に置かれた部下は
- 自由に業務を行うことができない
- 失敗もしないかわりに、成功体験を積む機会も奪われる
- 部下の成長は止まり、業務がだんだんとつまらないものになっていく
- 自分で考え行動できる能力の高い人材ほど、退職してしまう
子育ても全く同様で、過干渉は、子供や部下の自主性・自律性を奪い取ります。
しかし、同様の上司が多数派なので、自分では気づき難いものです。
豊かなコクと香りを楽しめる♪ブルックス 10gコーヒーお試しセット会社のトップが過度の現場介入をする場合
上司のマイクロマネジメントと同じように、トップをはじめとした経営幹部の現場介入は最悪です。
経営幹部が現場に入り込んでしまうと
経営幹部の過度の干渉は下記を招きます。
- 現場の指揮命令系統を壊す
- 人材育成も阻害される
- 少し長いスパンでは、会社を致命的な危機に向かわせてしまう
●なぜ駄目なのか・・・トップの持っている情報や価値観は、現場とはかけ離れていることが多い。時代感覚も違えば、世界観も違うし、相場感も違う。
●本来のあるべき姿・・・現場に成功法則を理解してもらうことに徹し、具体的なところは任せること。
<現場に口を出すトップが多い理由>
- 会社経営の全責任を背負い、これまで会社を存続させてきた自負がある
- その自負が、時に人間を「独善的」にしてしまう
- 任せられる優秀な現場リーダーがいないと感じがちになる
- 自分の指示どおりやってみろ、ということになる
<現場への介入で弊害が大きいのが、自分の好き嫌いで評価や人事を決定するケース>
- 自分の考えていることが正しいと考えるトップほど、“人を見る目は優れている” という自信を持っている
- 結果的に、自分の感覚で昇進を決めたり、評価に口出しをしてしまう
- 「社長の好き嫌いで昇進が決まる」というような愚痴が、職場にはびこる
- 現場のモチベーションを著しく低下させる
なぜ、日本の組織において、マイクロマネジメントやトップの現場介入が起きるのか
その根底には「日本型雇用慣行」がありそうです。日本型雇用慣行といわれる雇用システムは、「終身雇用」「年功賃金」「企業内組合」というシステムで成り立っていました。このシステムは、企業と労働者の運命共同体的関係を育んでいきました。今では薄れてきていますが、まだ根強く残っています。家族のような絆で結ばれた関係性であることから、メンバーシップ型雇用ともいわれます。
その結果、本来必要とされる組織開発の思考が日本では熟成されてきませんでした。これは、メンバーシップ型の雇用慣行によって生まれた大きなデメリットの1つです。しかしながら、一体感などのメリットもありました。
特に中小企業で、会社トップと従業員の関係が近いところでは尚更ですね。
逆に、その中小企業のトップが『ムーンショット目標』を掲げ、部下に自由に活動をさせる環境、風土を築ければ著しい発展が望めるかも知れませんね。それが、伸びてきているベンチャー企業です。ちょっと昔では、京セラや日本電産がそれに値するかも知れません。
それと、栗山監督や仰木監督の存在も多くの指導者の中ではホントに稀です。その稀な方を潰さずに伸ばせる度量が企業、社会にあれば未来は明るくなります。出る杭は強くしましょう。
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マネジメントという言葉の動詞、manageとは、「(馬を)手で御する」という意味で「手綱を引く」ことです。マネジメントとは “うまく手綱を引き、うまく誘導しながら人や物を管理し生かしていくこと” になります。
マネジメントの本来の意味
『目指すべきゴールだけを正確に示して、具体的なやり方は部下に任せる手法』
マイクロマネジメントはむしろ、「control(制御)」に近い手法でマネジメントとは異なります。
トップや上司が行う本来の仕事
組織全体を俯瞰して方向性を示すこと
✕ 部下の業務を事細かく監視することではない
イノベーションを起こす人材、圧倒的な成果をあげる人材が、組織に貢献してくれることは明らかです。
こうした人材を多く輩出していくためにトップや上司が行うべきことは、容易いことではありません。新しいことにはリスクが付きまといます。そのリスクを背負えるのは上司しかありません。将来の夢を描いて育みましょう。
大谷翔平選手の活躍は、アスリートのみならず企業人や多くの人達に、色々な示唆を与えてくれているように感じます。
まとめ
マイクロマネジメントの話は、怖いですね。多くの人は、この方法がマネジメントと勘違いしています。そして行き過ぎて、監視活動に入っていきます。監視される方は、不愉快で息苦しさを感じます。その中で、不貞行為が起きた場合は、更に監視が強くなります。
私も、以前勤めていた会社で実感しました。これは、トップ、上司が腹をくくって部下を信じることから始めないと良い方向には向きませんね。そして、良い方向に向きだすと次第に信頼関係が生まれてきて、ギスギスしていた関係が信頼という絆に変わっていきます。そうなれば多少の困難もみんなで力を合わせれば乗り越えていけそうな気になります。
このような感覚は味わったことのない人は信じられないでしょうね。まずは、思い切って任せることから始めてみてはどうでしょうか。