野球の試合中に急に投げ方がおかしくなることがあるのだけど、イップスに掛かったのかな
調べないと分かりませんが、チョーキングの可能性もありますね
チョーキング?初めて聞く言葉ですね
一般的にはイップスの名称が知られていますね。症状は、似ているけど原因は違います
2つの違いと、直し方を教えて欲しいです
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イップスとチョーキング
2つの違いを見ていきましょう。
名称 | 内容 |
イップス | 症状: 局所意識、局所修正を伴う過度な同一動作によって起きる運動障害 ・意に沿わないフォームが定着(不随意運動) |
チョーキング | 症状: 心理的な症状の一つ、一般的には ”あがり” のこと プレッシャーの影響により自身に不安を感じ、一時的に動作等が円滑に行われない状態 ・不安で一時的に体が硬直したり、意識的に動きを細かくチェックする行為 |
チョーキングの要因
要因としては、内的刺激と外的刺激の2つが影響していると言われています。
名称 | 内容 |
内的刺激 | 否定的でネガティブな思考:「もし勝てなかったらどうしよう」とか「相手は自分よりきっと強い」 ⇒恐怖を感じ、筋は緊張し、疲労は高まり、心拍数や呼吸数も増加する |
外的刺激 | 様々な環境的要因:試合場の騒音やコーチ・審判などの反応、周囲の期待 ⇒脳から不適切な命令が出され、それによるパフォーマンスの低下 |
プロとアマチュアとは違う傾向があるようです。プロは外的刺激には強く、突発的な騒音にも動じないが、内的刺激には過剰なセルフチェックを行ってしまい、スムースな動きが妨害されてミスにつながっていく。アマチュアは、両方弱いがどちらかというと外的刺激に弱く意識がそがれるので動きがぎこちなくなります。
チョーキングは損失回避により起きる?
最近の研究で、チョーキングは損失回避により起きるのではないかとも言われています。<参考:ダニエル・カーネマンの『ファスト&スロー』>
損失回避とは、損をするのが嫌だという感覚で、小さな損失を恐れて大きな得を得るチャンスに手を出すことができない人のことを損失回避レベルが高いと言います。
過去の研究でも、この損失回避レベルが高い人ほどチョーキングの現象を起こす可能性が高いということが分かっています。
その理由は、「勝ちたい」(得したい)という気持ちよりも、「負けたくない」(損したくない)という気持ちの方が大きくなってしまい、そうなると自分の行動を止める方向にメンタルが向かってしまうので実際に行動が止まってしまうということです。
実際に脳をスキャンすると、損失回避レベルの高い人は、脳の線条体という人間の運動機能に関与する部位の活性度が低下するということも分かっています。
失敗したくないと思うと僕たちは本当に体が動かなくなるということです。
緊張緩和の対策
リアプレイザル(reappraisal:再評価・再鑑定)というテクニックを使います。
それは、カリフォルニア工科大学の実験で、勝てば50ドルもらえる、負ければ50ドル払うというゲームを2つのグループに分けて実施。
1.普通にゲームを実施
2.ゲームに参加した時点で、すでに50ドル手に入れていてその50ドルをキープするのか、しないのかのゲームと考えて実施
2.はすでに自分は50ドルを手に入れていて、負けたところでそれを取られるだけで損はしないと考える。
結果は、1.は損失回避レベルの高い人ほどパフォーマンスが低くなったが、2.の防衛戦だと考えて行うグループは明らかにパフォーマンスの低下が起きることなく、かなりのレベルの改善が確認されました。この研究では、被験者の皆さんの皮膚反応も調べました。ガルバニック皮膚反応というストレス反応などを測るものです。それによってもストレスレベルが下がっていたことが分かりました。
スポーツの場合であれば、すでに試合に勝っていることにして、練習試合として再試合するなどと考えるとチョーキングを抑えることが可能になります。
資格のテストの場合であれば、そのテストをすでに自分はクリアしていて、資格を維持するためのテストだと考えるなどです。
たったこれだけの発想の転換でも緊張感が薄れてパフォーマンスを発揮することができるようになるのです。
これは、手近で簡単なテクニックです。本来はメンタルトレーニングにより緊張に強い自分を作った方がより良いです。
【最短翌日配送】スポーツデポの公式オンラインストア野球においてイップスになりやすい選手の思考の特徴
一般の人も、イップスに掛かりやすい人も、悪いイメージを持つ癖があります。
・失敗したらどうしよう ・ここでボールがすっぽ抜けたらどうしよう
☆このイメージを無理にでもいいイメージに変えます。いいイメージを持ってプレーすることができれば、良い結果に繋がります。
イメージの展開
- イメージしたことが形となる
- 「~したくない」ではなく「~する」と考える
- イメージの細分化
1.イメージしたことが形となる
実は、怖いほど、体は本当にイメージしたものを実現しようと無意識に行動します。
失敗するというイメージを持てば持つほど、体はそのイメージに近づけようとしてしまうので、失敗が増えてしまいます。
2.「~したくない」ではなく「~する」と考える ⇒損失回避が低いが 〇
例えば
思考 | 内容 |
✕:「~したくない」 | ・ファーボールを出したくない ・デッドボールを当てたくない |
〇:「~する」 | ・三振を取りたい ・バッターをおさえたい |
というように気持ちを切り替えて、前向きな思考にします。
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例えば、先ほどの「バッターをおさえたい」というイメージ。
「バッターを抑えるためには何をしなければならないか?」ということを細分化していきます。
思考 | 内容 細分化 |
「~したくない」 | ✕ すっぽ抜けたボールを投げたくない |
↓ 前向きな思考に変換 | ↓ 課題を細分化する |
「~したい」 | 〇 バッターをおさえたい の細分化、思考の展開 1.「コントロールを良くする必要がある」 2.「体のバランスを安定して投げる必要がある」 3.「ワインドアップで安定する必要がある」 4.「足裏全体でしっかりと立つ」 |
意識するのは、最終的にたどり着いたポイントです。つまり、「足裏でしっかりと立つ」という課題が達成できればバッターをおえる確率が上がるということです。同時に、イップスの意識も消えていきます。
この思考のパターンを普段の練習から取り入れておくことが大切です。
☆日頃から意識し、トレーニングすることが大事
まとめ
結果を出す思考法についてお話しました。まず、「~したくない」という悪い思考を、「~したい(〜する)」という前向きな思考に変える。
そして、そのいい思考を細分化してゆく。より根っこになる部分を見つけ出し、そのポイントに集中するのです。
ほんの些細な考え方、言い方により脳は反応し、身体に影響を与えます。知らないうちに、取り返しのつかない状態になっているかもしれません。気を付けて前向きに生きていきましょう。