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根拠なき科学が広まる! 右脳神話は本当にあるのか?

ヒロポン

神話と言われている話は、長年の積み重ねで作られているのではないのですか?

そうですね。脳にまつわる神話で、右脳神話というものがあります。信憑性があるのか一緒に考えてみてみましょう。

サキ先生
ヒロポン

了解しました。宜しくです。


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右脳神話とは

右脳神話について、脳科学者の中野信子さんがネットで発信されています。興味深いので参考にして考えていきましょう。

そもそも『右脳神話』は、どうして生まれたのでしょうか。

その基になった原因の一つにスプリット・ブレインスタディという研究があります。これは1968年の研究で、ロジャー・スペリーという人が、ノーベル医学生理学賞を取ったものです。脳梁(右脳と左脳をつなげている)を切断した患者さんを被験者として、左脳右脳の機能の差を調べたものです。

下記の図形のような “Navon課題” というものがあります。

Navon課題(空間解像度)

<下記図形を見たときに「なにが見えますか?」の問い>

おおまかに見ると A の字です。小さい H の字を並べて A 型に見えるように配置しています。これを、右脳が損傷している人と、左脳が損傷している人にそれぞれに見てもらい認識できるものを紙に書いてもらいます。

脳の状態見えるもの不明なもの
左脳が損傷している人大きいAの字を書く小さいHが認識できない
右脳が損傷している人小さいHの字をバラバラに書く大きなAのかたちが認識できない

健常者からは、不思議な現象です。

  • 見ている階層が違う
  • 見える解像度が違う

☞ 処理する情報の、空間解像度が左右で異なる 

時間解像度について

<我々が発している言語について>

聞く人の脳で起こっていることは、

  1. 音韻の処理
  2. 意味、語彙、文法
  3. 上記のように、高次のレイヤーに処理が移っていく

☞ 時間解像度が高くないと処理ができない意味情報

●上記以外にプロソディという要素がある

プロソディ・・・イントネーションや、アクセントといったものに近い要素で、話し方の調子のこと

☆ プロソディの部分と、言語の文法や意味情報とは、脳では別々に処理をしている

例えば、ATMなどで、合成された言語音を流す機械の言葉を聞いたときに、「人間の自然なしゃべり方とは違うな」というように感じます。また、日本語を習いたての外国人が、あまりこなれていない日本語をしゃべるときに、イントネーションから「母国語が日本語ではない人だな」ということを感じたりします。

脳の大事な事

プロソディの情報・・・右脳で処理(≠左脳)をしている

言語情報よりもやや解像度の粗いプロソディの部分は右脳で処理している。図形の大きなAの字に当たる部分に匹敵。

右脳と左脳が担当する役割の違い

脳が左右にわかれていることは、理由があります。

<魚類、両生類、鳥類の機能分化>

部位内容目的
右脳全体視天敵を回避するため
全体を見て予期しない事態への対応
左脳部分視、中心視詳細内容の把握
注意を向けたところの情報を解像度高く処理する

天敵を回避するために、右脳に全体の概要把握の機能があるのだろうと考えられています。左右の機能分化。右と左では担当する機能が確かに異なります。

しかしながら、右脳がクリエイティブであってアーティスティックなことをやっているかどうかは、誰も確かめられないのです。研究成果として、エビデンスを得ることは困難なのです。

右脳神話としては、右脳が芸術的だとかクリエイティブとかいうのは、クリエイティブという言葉が大好きな人たちによって盛られ過ぎてしまったものかも知れません。

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“科学を黙らせる” のは、事実に目を背ける人々

<2010年に報告された研究>

●目的:7,000以上に脳の領域をわけて、左右脳の機能に個人差、個体差があるのかどうかを解析

●期間:2年間

●対象:7歳から29歳まで1,000人以上の被験者の神経活動を観察

研究結果

○ 機能分化には、個人差がない

 ☞右脳人間とか左脳人間とかいう言い伝えは、科学的には根拠がないという事が判明

こうした類型論的な話はよくありますが、上記の研究がダメ押しかもしれません。全否定されてしまったわけです。

ただ、みんなに知れ渡った “右脳神話” を否定するメリットもないので、ただ研究で間違いであることがわかったという事は認識したいと思います。

科学的な発見が大衆や時の権力者の考え方と違う場合、科学的な発見が必ず勝つ、というのはあまりにもおめでたい思い込みです。古くは異端審問にかけられ、歴史的にもそういう主張をする人は、頭がおかしいなどとされて病院に送られたりしました。

現在では、SNSの浸透により、いくらエビデンスがあったとしても、大衆からのエモーショナルな攻撃に晒される可能性は高いです。不安が強いのでしょうか、個人的な感情からパニックになってファクトを見られなくなる典型です。

危機的な状況ではなおさら、事実に目を背けようとする人が増えるのです。このような現象が科学を黙らせてしまうのです。コロナ禍の同調圧力に似ていますね。

まとめ

科学を黙らせる。特に日本では、一度方針が決まるとそれが仮に間違っていることが後でわかっても、訂正は効き難いのです。コロナ後のマスク着用も同じような傾向を感じますね。

ただ、科学的な真実は間違いなくあります。周囲の環境に惑わされることなく、自分は探求していきたいと思っています。スポーツの世界でも、昔の言い伝えの中で、身体的に逆の作用があることが判明した例は多くあります。水分摂取は良い例です。昔はよく熱中症が問題にならなかったものだと思いますね。

よって、常に最新の情報を掴んで、間違いはできるだけ正していきたいと考えています。