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何故、10代の子どもは不安を感じやすいのか? 脳にとって、20代はまだ発展途上中

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ヒロポン

日曜日の夕方になると、元気がなくなってくるのです

それは、ほとんどの人が感じますね。次の日のことを考えると憂鬱になってきます。子供は特に感じますね

サキ先生
ヒロポン

そうなのですか。大人と子供と感じ方が違うのですか?

10代の苦悩

コロナ禍で自粛が解除になったタイミングで、少なからずテレワークとかオンライン授業が終わり、また学校に行かなきゃ行けないかもしれないということで、うつ状態になってしまう人がいるんです。脳科学者の中野信子さんがネットで発信されている内容によりますと、1年で、最も子供の自殺率が高くなってしまうのは、8月の終わりだという事です。

年代脳の状態理由
10代の終わりごろ・情動の処理がうまくできていない
・合理的な判断や、情報を適切に処理して冷静に行動することが難しい
・内心すごく不安であったり、顔色に出ていたりする
・成長しきれていない
・ストレスに弱い
20代後半ストレス耐性がついてくる

10代の脳は、20代以降の大人の脳とは違います。実は10代の終わりごろの脳は、情動の処理がうまくできていません。まだ成長しきれていないので、合理的な判断や、情報を適切に処理して冷静に行動することが難しいのです。例えば、一見冷静そうに見える10代終わりぐらいの人も、実は内心すごく不安であったり、顔色に出ていたりで、本当に冷静に落ち着いていられているかは分かりません。だから、本当は受け止めて欲しいのです。

20代以降の大人の脳と一番違うところは、ストレス耐性です。10代の子どもの脳はストレスに弱いのです。そのため、不安障害にもなりやすいのです。

不安の回路があるのですが、大人の脳は不安に対して、そんなに不安にならなくてもいいのではないかと打ち消す回路ができてくるのです。しかし、10代終わりごろの子供の脳は、この回路が不安も増幅する側に働いてしまうのです。その為、大人だったら自分で沈められるものが、若い人の場合は、より不安が大きくなっていってしまって、冷静に振る舞うことができなくなったり、不安を隠すのに精一杯で、本当にやるべきことに手がつかなかったりします。

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ニューヨーク州立大学の2007年の論文

ニューヨーク州立大学のシェンという人が、2007年に “Nature neuroscience” に乗せた論文があります。内容は、THP(テトラヒドロ・ブレグネロン)というホルモンがあり、脳内で果たす役割が、大人と子供で違うというのです。先程の話ですね。

THPというのはストレスを受けると分泌されます。大人の脳では、このTHPが不安を抑える役割をします。つまり、自分で不安を抑えるブレーキを踏むことができるのです。しかしながら、10代の子どもの場合は、逆にアクセルになってしまうのです。不安をより増幅してしまうのです。

そういう意味もあって、大人が、10代の子供に向かって、「そんな不安に思うなんて、考えすぎだよ」とか、「繊細だね」とか、ちょっとからかうように言ったりすることがあると思うのですが要注意事項です。

これは、子供は大人が感じるよりも、ずっと大きく不安を捉えているものだという事を理解してあげて、大人が気を遣ってやる必要があると思います。


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性ホルモンの影響

また、思春期を迎えると、急激に性ホルモンの量が増えてます。小学生の子供の頃と比べて思春期になってくると、体も変化がありますが、脳にも性ホルモンの影響が現れてきます。

男性ホルモンというのは、男の人にとっては攻撃性を高める要素として働きます。そして、性的な衝動も起きてきます。それまで興味の向かなかったものに興味が行くようになったり、親が理解できないような振る舞いをしたりすることも増えてくるかもしれません。

脳に扁桃体という場所があるのですが、ここは情動を司る部分なんです。この部分がテストステロンという男性ホルモンを受け取る部分、受容体が集中している場所になります。この扁桃体というのは恐怖を感じたり不安を感じたりして相手と戦う、もしくは逃げる。「fight or flight」と言われます。日本語で「闘争か逃走か」を司る部分でもあるので、ここに男性ホルモンが影響していると言われています。

成熟が遅い脳を持ちながら冷静に行動するというのは大変なことです。大人は若い時代を思い出してみると自分がどれだけ不安定だったかということを思い出せる人も多いと思います。私はどちらかというと激情型だったようで不安定な感じでした。

何故このような不安な気持ちが高まるようにできているのか、何の意味があるのかという問いもあります。不安が大きい方が学習が早いのです。嫌なことが現実になったらどうしようと思うと、必死になって一生懸命勉強したりします。こういう自分が嫌だなと思ったら、何か役に立つスキルを身に付けようとか、人にいろいろ聞きに行こうとか、何かしら自分を奮い立たせる原動力になりますね。不安な気持ちが強いことで、新しいスキルを身に付ける力が強くなることもあります。

不安があるということは、意味のあることかもしれませんね。

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20代もまだまだ伸びる

10代の若者の脳は大人と比べて完成度は、凡そ8割くらいという見解です。

重要なものに前頭前野という場所があり、文字通り前頭葉の前のほうです。おでこの奥のほうです。この部分は計画を立てたりとか、将来のことを考えて「今はこれをするべきだ」と自分の行動に抑制をかけたり、共感をしたり、あと集中したり、注意を振り分けたりとかをするところなんです。この部分が、一番人間の脳の中では遅くできあがります。おおよそ、30才前くらいまでかかります。だから10代どころか20代のうちは、まだまだ脳は発展途上で伸びていくのです。

昔の研究では、脳の成長は幼稚園に入る頃にはほぼ完成されると言われていました。その影響から、幼少期からの早期教育に熱心に取り組むような時代もありました。
10代の脳が研究されるようになったのは、ここ10年ほどです。10代の脳は、大人の脳とは違いまだ未完成なのです。よって、不安定な時期でもあるのです。

脳は発達のピークは場所によって違うのです。下表参照

発達の
順番
脳の場所役割発達のピーク
後頭葉物を見ることを司っている0歳~4歳くらい
側頭葉
頭頂葉
音を聞く能力に関わる。周りからの様々な言葉を理解し始める
運動を担う
3歳~5歳くらい
前頭葉人とのコミュニケーション能力や、社会性理性などを司るところ10代から思春期を経て30才くらい

まずは、物を見ることを司っている『後頭葉』です。次に音を聞く能力に関わる『側頭葉』が発達し、周りからかけられる様々な言葉を理解し始めます。同時に運動を担う運動野を含む『頭頂葉』が発達します。最後に、脳の前の方にある『前頭葉』が発達していきます。ここは人とのコミュニケーション能力や、社会性、理性などを司るところ。このように、脳は基本的に後ろから前へと発達していくため、『前頭葉』の発達ピークが一番ゆっくりになるわけなのです。

脳の発達のピークは、0~4歳ごろ後頭葉から始まり、3~5歳ごろに側頭葉、頭頂葉、10代ごろに前頭葉へ及ぶ。脳は後ろから前へと発達していくのが特徴。

<脳の概略図>

高齢になっても、神経は新生している

20年くらい前の昔は “大人になるともう神経細胞は死んでいく一方で、新しく生まれることはない” と言われていました。1997年にアメリカと北欧の学者が共同で、かなり高齢の方の亡くなった脳を見て、神経の新生が起きていたということを発見したのです。

大人の高齢の方の脳の中でも新しく神経細胞が生まれているということで、死ぬまで神経細胞は生まれ続けるということなのです。前述の “大人になると神経細胞は死んでいく一方で、…” と思われていたそれまでの常識が、誤りであるということがわかったのです。使えば脳は鍛えられるかもしれないということがわかったわけで、もっと自分を高めていくことにすごく価値があるよということを支持するような研究結果です。

10代の脳の特徴で、前頭前野があまり育ってないというのは一体どういうことなのか?

神経細胞同士は、1つの神経細胞が足を伸ばしてその次の神経細胞にシナプスを形成して接続する、というかたちを取っています。この足の部分に脂肪の層が巻きつきます。この脂肪の層の巻きつきを「ミエリン化」と言います。生まれたばかりの脳では、この足の部分がいわば裸電線の状態です。その状態の足を電気信号が流れ、次の細胞に情報が伝わっていくのですが、裸電線なのでちまちまとしか進んでいけず、すごく遅いんです。これがミエリンが巻きつくと、ミエリンというのはくびれがあって、そのくびれを電気信号が飛んでいくことができ、跳躍伝導と言うのですが、このお陰で各駅停車が新幹線になるくらいの速さで情報が伝わるようになるのです。そのため、情報が早く処理できるようになるのです。

今まで抑制することがうまくできなかったものが、次第とうまくできるようになる。集中とか注意を振り向けるのが、うまくできなかったものが、うまくできるようになる。冷静に判断することも、次第に上手にできるようになったり、人から自分がどう見られているのかなということがわからなかったことが、できるようになる。成長するということを、自分で実感できるようにもなっていくのです。

このミエリンというのは脂肪でできていますので、しっかりと材料を食べたり飲んだりすることも大事なのです。脳の発育の為にも、若いうちは、無理なダイエットはしないほうがいいかもしれないですね。

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まとめ

脳の情動系は30歳まで育成が掛かるという事で、あまり性急にならない方が良さそうですね。

今思うと、じっくり考えていれば結婚の時期は遅れていたかもしれないです。しかし、ある意味、勢いでやらなければならないことは不安定な状態の方が良いかもしれませんね。人生に潤いを持たすためにも、時には必要な事でしょう。

また、脳細胞はいくつになっても新生するという事なので、年を取っても怯まず新しいことに挑戦していきたいものです。

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