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菊池雄星が語る“100球”のこだわり! 球数を投げるのは20代半ば~

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菊池雄星選手が、MLBに行って日本でのトレーニングとの違いを感じているようですね

そうみたいです。日本でのトレーニングは今では違っているかもしれませんが、数年前までは古い日本式をやっていたみたいです。特に春先のキャンプでの内容が違うみたいですね。

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具体的な内容を教えてくれませんか。今後の参考にしていこうと思います。

MLB菊池雄星選手の提案

菊池雄星選手は大谷翔平選手と同じ花巻東高校の3つ先輩になります。彼は、2019年にアメリカのシアトル・マリナーズに入団しました。そして、チームのコーチと「日本の投げ込み」について話し合ったそうです。

菊池選手の質問・・・日本では、200~300球の投げ込みをします。高校生やプロ野球の春季キャンプなどで、投げ込みや走り込みをして「ここで投げ込んだ(走り込んだ)量が秋に繋がるんだ」と言われることが多いです。どう思われますか。

マリナーズのコーチの言葉

トレーニングは、積み重ねないとダメ。『今日3キロのステーキを食べろ、このステーキが秋の成績に関係するんだ』と言われたら、信じないだろ? 1日200球の投げ込みはそれと同じこと。トレーニングというのは毎日少しずつ刺激を入れ続けることが大事であって、ピッチングも少しずつ投げることが大切なんだ。

菊池選手は、ものすごく腑に落ちる説明で、その通りだなと実感したそうです。

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100球で区切る

アメリカの先発投手は100球くらいをメドに交代します。この「100球」という制限は、菊池選手にとっても納得できる部分が多くあるそうです。

菊池選手の感覚

「100球」という制限は、納得できる数字。自分にとって、100球と120球では試合後の疲労感が大きく違うからです。もちろん暑さや他の条件もありますが、自分の場合は炎天下での120球を超えたあたりから “体力じゃない部分” を使っている感じがするんです。気力で投げていて、身体的にいうと「ヤバイ状態」。筋肉の繊維も傷ついてきて、体の張りが出てくる。ですから、「100球」という目安は自分に合っていると感じます。

 球数を「100球」で区切る理由は、トレーニングを例にすると分かりやすいかも知れません。

 筋肉の瞬発力を向上させるためのトレーニングに「プライオメトリック・トレーニング」というのがあります。具体的にはジャンプスクワットやジャンプ腕立て伏せ、重いボールを床に叩きつけるようなトレーニングで、速さと力強さを身につけるものです。

100球のトレーニングからの裏付け

上記トレーニングの注意点として、全ての動作は「100回程度以内で行う」というものがあります。

なぜ100回程度なのか ☞

  • 100回を超えると筋繊維の破壊疲労などの要因で極端にスピードが落ちる
  • 全力で動けなくなり、速さが保てなくなる

<トレーニングの要点> プライオメトリック・トレーニングの基礎・・・「速く、力強く」動作ができる

  • スピードが落ちてしまった時点で、トレーニングにはならない
  • このトレーニングは、筋肉だけでなく腱、靭帯、関節に大きな負担がかかる。「全力で」「正しく」やろうとした時、十分な筋力がなかったり動作が適切でなかったら、筋肉だけでなく関節の故障につながる可能性が高くなる

 このトレーニングをピッチングに関連付けると、ピッチング動作はまさに速く力強くという点で、筋肉、靭帯、腱、関節に負担がかかる動作になります。トレーニングでさえ100回を目処に止めるのですから、試合におけるピッチングではもっと負担が大きくなると考えるのが自然。投げた分だけ鍛えられるという性質のものではなく、純粋に損傷するという事です。

それがもし、十分な筋力がなく投球動作(フォーム)が未熟な10代の選手だとしたら、関節障害が起きても全く不思議ではありません

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甲子園の炎天下では

夏の甲子園は炎天下の中で試合を行います。高温下でのピッチングについても考えるべきです。

人間の体とは

人間の体は高温になる事を嫌います。高温になると神経機能が低下し、最悪の場合、脳機能の障害も起こるからです。その為、体が高温化した場合、体は汗をかいて気化熱で体温を下げようとします。

  1. ピッチングをすると体温が上がるので、汗をかきます
  2. 汗をかいて体温を下げたいのに、炎天下では全く体温が下がりません
  3. 体は「それ以上体温を上げさせない」という反応をします
  4. 「体を動かなくさせる」という手段をとる
  5. パフォーマンスは著しく下がります

*炎天下でピッチャーが100球を超えると、理論的には身体はもう動くはずがなく、あとは精神的なもので無理をするしか無くなります。そのことは、故障のリスクを背負うことに繋がります。よく炎天下は慣れで対処できると言われます。まさしく根性論ですね。お涙頂戴は良いですが、良く試合中に痙攣をおこし水分補強をするケースがありますが、まさしく危険信号の発信ではないでしょうか。「痙攣起こしても頑張ってる」と感動している場合ではありません。下手すれば、死活問題になりますよ。

球数を投げる時期は20代半ば

ピッチャーが成長していくためには「量を投げる期間は必要」ということ、数を投げる時期を作る必要性は感じていると菊池選手は言っています。

 しかし、それは10代であってはいけないとのことです。

●野球が上手くなる時期・・・骨の成長が止まって筋力がしっかりついた後、年齢的には、23~26歳あたりが多い。

年齢する事してはいけない事
10代トレーニングで、体の土台作り
(身長が伸びる時期)
投げ過ぎ(MLBの『ピッチスマート』に従う)
~23才トレーニングで、体の土台作り
(身長も止まり、筋力がしっかり付く時期)
投げ過ぎ(MLBの『ピッチスマート』に従う)
23~26才しっかり投げることで、効率的に技術を覚えることに繋げる
(体が安定したところで次は技術に繋げていくことが可能になる時期)
無理な投げ過ぎはしない(トレーナーと相談)
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菊池選手も18歳から24歳までの6年間で体重が20キロ増えました。10代の頃の身体は、1年、もっと早く1月でも大きく変化するので、ケガのリスクは付いて回ります。

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高校野球のトーナメント制の問題

高校野球のルールも変えていく必要があると菊池選手は思っています。

自分なりに考えた1番の理想は、リーグ戦の導入です。リーグ戦だと「負けたら終わり」ではないので、長期的な視野で多くの選手を試合に出すことができます。エース以外のピッチャーの登板機会も自然と増えます。

しかし、現実的には難しいとなれば、思い切って7回制を導入するのはどうでしょうか。

菊池選手の思い

試合での球数が炎天下での120球くらいから疲れ方が変わります。イニングで言えば8,9回が肉体的にも精神的にも辛いところに当たります。ピッチャーの立場からすると、最後まで投げたいですし、監督やコーチもその選手を交代させるのは難しいでしょう。

今のままでは「8、9回は気力で投げる」ことが多くなりますから、思い切って7回制にすることで負担は軽減できるのではないでしょうか。

一考の余地はあるかも知れませんね。現役の選手は、甲子園ハイの心情もありますので冷静な大人の判断が必要になるのではないでしょうか。

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MLBで100球制限をしているPAPの考え方

 MLBの現在の指標である “1試合100球” という投球数制限の根拠は、アメリカの野球専門のシンタンクであるベースボールプロスペクタス社が考案したPAP(Pitcher Abuse Point=投手酷使ポイント)に由来しています。

PAPは1999年に公開。

投球数の多さがピッチャーにとって悪影響があるという想定の元、1988年から1998年の試合データを用いて、全ピッチャーの投球数の平均値を算出し、その平均値を基準として投球数の多いグループと少ないグループの2つのグループに分けて分析を実施。投球数の多いグループ(High Endurance)では、100球を過ぎたあたりから右肩上がり(防御率の悪化)となる傾向が得られた。

この傾向を公式化したものがPAP(ベースボールプロスペクタス社では、PAP^3と記載)です。

PAPとは

●計算式  PAP^3=(投球数-100)の3乗

PAPとは投球数と防御率悪化の関係を表したもの

●ピッチャーのトータルの投球数と故障率との関係を調査

PAPの値の大きいグループにおける故障した投手の割合が、故障しなかった投手の割合の3倍以上であることが判明

<結論>

1.PAPがピッチャーの故障と関係がある

2.1試合あたりの投球数は100球という制限

一般的にメジャーリーグの先発ピッチャーは、年間30回程度の試合に先発します。1試合で100程度の球数を投げるとすると年間の投球数は3000球となる。グラフから読み取ると、3000球の時のPAPの平均値は10万ポイントであります。つまり、PAPの累計が10万ポイント以下であれば、ピッチャーの故障するリスクを軽減できるということになります。

参考に、感動的な2013年の日本シリーズの第6戦で、田中将大投手は160球を投げ完投し、負け投手になりました。160球投げた場合のPAPは、216000となりメジャーにおける基準を遥かに超えてしまっていました。PAPの観点から見た場合は、田中将大の力投は大問題というしかないのです。

まとめ

菊池雄星投手の話にもありましたが、100球という数字は肉体的にも、区切りを感じた方が良い数字ですね。PAPもそうですが、バカにできない数字ですね。

昔の甲子園決勝での、延長18回根性の翌日再試合で、感動していたことを思い出します。今思うと如何に過酷な試合をさせていたかという事を思い返さないといけません。

根性での感動も良いですが、今回のWBC大会の様に球数制限の中での爽やかな感動の連続は、新たな境地を教えてくれるのかも知れません。誰も、未来に禍根を残さない試合が良いですね。ベースボールの夜明けかも知れません。

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