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高校野球の球数制限は選手を守れるのか? 未来のスーパースターの出現は

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先日も春の甲子園大会が開催され、盛り上がっていました。以前よりは、投手の投げ過ぎを考えているような配慮が感じられますね。

選手の球数制限が引かれましたが、明確な根拠に乏しいように感じます。でも、監督はじめ周囲のスタッフが配慮している様子は良いと思います。どちらにしても、依然として問題はありそうですね。

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これから、過酷な夏の大会が控えています。注意してみていく必要がありそうですね。

「7日間で500球」は妥当なのか

2021年から導入される甲子園での球数制限は「7日間で500球」であり、甲子園に出場するレベルの高校の場合は、実質的に「現状追認」と言っても良い形です。大会ありきの姿といっても過言ではありません。少なくとも、スポーツ医学の見地からの意見は入っているのでしょうか。下記に各年度の決勝に進んだ投手の球数を明記します。

大会高校選手名投球数/7日間投球数/大会
2019 夏履正社清水大成327594
2019 夏星稜奥川恭伸379512
2018 夏金足農吉田輝星580881
2015 夏仙台育英佐藤世那(  )680

上記実績を見ると、明らかに、プロ野球では100球が目安になっている現状でも、投げ過ぎの傾向は否めません。ましてや、プロの場合は中4日以上の休養を取っています。上記の彼らは、連投もしています。
直近では、夏の甲子園で「7日で500球」を超えたのは、2018年夏、金足農の吉田輝星選手が3回戦164球、準々決勝140球、準決勝134球、決勝132球の計580球を投げた例があります。彼は大会中トータル881球投げています。

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怖い 甲子園ハイ

2015年決勝まで勝ち上がった仙台育英の佐藤世那投手は、「甲子園のマウンドって、不思議なところなんですよ。いくら投げても全然疲れとか感じないんですよ」そして「僕の場合は、すべて全力投球でした。ただ、こっちがびっくりするほど、パワーが出てくるんです。もっと投げたい、まだまだ投げられる。楽しくてしょうがなかったですね」と言っています。まさにランナーズハイならぬ "甲子園ハイ" だったのかもしれません。

気持ちの部分で乗り切れても、体は知らず知らずのうちに悲鳴を上げていたに違いありません。甲子園から帰った翌日、高熱を出し、そのまま1週間入院したという選手がいました。また、甲子園のマウンドで躍動していた投手が、負けた翌日、朝食の時に箸が持てなくなったこともあった、と聞きます。選手たちの気持ちの充実感と将来への備え、やはりバランス感覚が必要なようですね。そこは、ちょっと横から冷静に見る大人の判断が必要になるのではないでしょうか。

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MLBで「ピッチスマート」が生まれた理由

アメリカでは、MLBが2014年に医師をはじめとした専門家の意見も取り入れたガイドライン「ピッチスマート」を発表しました。これは年齢ごとに1日の球数の上限、その球数によって必要な休養日を細かく定めたものです。

 例えば、甲子園出場に値する17~18歳だと、1日の球数の上限は105球。31-45球を投げた場合は中1日の休養が必要で、76球を超えると最低でも中4日、休養しなければならない、となっています。明らかに、「7日で500球」はありえないですね。

従来のアメリカの少年野球は、学校ではなく地域のクラブ単位で行われていました。クラブはリトルリーグなど少年野球リーグに所属しており、同一リーグ内でリーグ戦やトーナメント戦が行われてきました。日本で言う甲子園のような全国大会は存在せず、地域大会が一番上位の大会です。だから、指導者は勝利を求めて選手に無理をさせることは少ない。少年野球の指導者は「今」の勝利を求めるのではなく、有能な野球選手を輩出することを目標にしているから、選手に登板過多などを強いることもなかったのです。

そもそも、アメリカでは野球はシーズンスポーツであり、選手の大部分はアメリカンフットボールやバスケットボール、ウインタースポーツなども掛け持ちで行うのが一般的でした。日本の高校野球のように、一年中野球をしている選手は珍しいのです。

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アメリカでも少年野球を取り巻く環境は大きく変化し、故障者が…

しかし、近年、少年野球を取り巻く環境は大きく変化しつつあります。MLB選手の契約の大型化によって、優れた才能を持つ野球少年を発掘し、MLBに売り込むことがビッグビジネスになったのです。

その為、有望な野球少年をスカウトの目に掛るように「トーナメント」が毎週のように開催され、そのためだけのリーグが結成されるようになったのです。このようなリーグは「トラベル・リーグ」と呼ばれ、名前の通り、全国の野球大会を回るようになりました。

MLBで活躍するトップ選手の中にも、新しい少年野球のシステムの出身者が多くなっていますが、反面10代でトミー・ジョン手術を受ける子供が急増して、社会の批判を浴びるようにもなっています。

MLBは過熱する少年野球の現状に危機感を抱き、すべての少年野球の団体、大会が守るべき投球制限、登板間隔の基準である「ピッチスマート」を制定しました。アメリカではプロ野球とアマチュア野球の障壁は小さく、MLBがアメリカの野球界を指導する立場でもあったのです。

ピッチスマートとは

各リーグは、ピッチャーの投球制限を設定して、疲労を伴うピッチングの可能性を制限することが重要であるとしています。調査によると、ピッチ カウントが最も正確で効果的な手段であることが示されています。以下に必要な休息の推奨事項を上げています。

<ピッチスマート>

1日の最多投球数
(ゲーム内ピッチ)
ピッチ距離
(フィート)
休息0日1日間の休息2日間の休息3日間の休息4日間の休息5日間の休息
7-85046 (14m)1-2021-3536-50なしなしなし
9-107546 (14m)1-2021-3536-5051-6566 以上なし
11-128550 (15.24m)1-2021-3536-5051-6566 以上なし
13-149560 (18.28m)1-2021-3536-5051-6566 以上なし
15-1695601-3031-4546-6061-7576 以上なし
17-18105601-3031-4546-6061-8081 以上なし
19-22120601-3031-4546-6061-8081-105106 以上
12か月間に投球された
合計イニング数
投球の休息
(年間)
同じ日のゲーム連続登板
7-8604か月(少なくとも2~3か月は継続)1試合3日間連続は✕
9-10804か月(少なくとも2~3か月は継続)1試合3日間連続は✕
11-12804か月(少なくとも2~3か月は継続)1試合3日間連続は✕
13-141004か月(少なくとも2~3か月は継続)1試合3日間連続は✕
15-161004か月(少なくとも2~3か月は継続)1試合3日間連続は✕
17-181004か月(少なくとも2~3か月は継続)1試合3日間連続は✕
19-22年間を通してピッチングの量を追跡3か月(少なくとも4週間は継続)1試合3日間連続は✕

きめ細かく設定されています。年間での規制もあり、肩、肘は消耗品であり、大事に使い十分な休養が必要であるという事がよくわかります。これは、少年野球でも見直しをかけなければならない項目ですね。オフシーズンの考えは日本では少ないです。また、10代、せめて高校時代は成長期であることを前提に、大人とは違うことを認識しなければなりませんね。

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まとめ

アメリカでも同様に、MLBへの大型契約の話が出てくれば、アピール合戦の様に試合数が増えてきて、結果ピッチャーの故障者が増えてきています。日本との違いは、すぐさま必要と判断されるとMLBは、投球の規制をルール化して実施してきます。日本は、なぜ人にとって大切な事をないがしろにするのでしょうか。複雑に入り組んだ組織の世界は、すぐ様の変化は難しいので、まずは指導者が盾になって選手たちの未来をバランスの目をもって、守ってやらなければならないですね。

そう考えると、大船渡高校の監督の判断には頭が下がります。勝負所は、高校時代だけではないと思います。

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