定年後、毎日一緒も重たく感じますね
そうですね。子供たちも独立してきている年齢なので、夫婦双方プレッシャーのない「つかず離れず婚」が理想だと言われています。
よく考えて、いい形にしたいです
最もポピュラーなスタイルの「つかず離れず婚」
これは、夫婦の関係性が近すぎず、でも遠すぎず、〝ほどよい距離感〟で暮らすライフスタイルです。医師の和田秀樹さんが、高齢者を診てきた経験から定年後の夫婦が幸せに暮らすための方法を提案しています。
夫と妻、というよりも、一つ屋根の下に暮らす “同居人”、あるいは “友人” としてお互いを捉えるほうが、ストレスなく暮らせる場合もあります。「つかず離れず婚」を提案したい大きな理由は、日本人の夫婦の関係性があまりにも近すぎると感じるのです。
相手のためにと思うほど、期待もどんどん膨らんで、その挙句、自分の思う通りに振る舞ってくれないと、怒りが沸いてくる。こうした近づきすぎた関係は、心地のよいものではありません。では、どうすればいいのか、一線を引いて相手に何も期待しない求めないほうが、ストレスもなくなり気が楽になります。
距離を置くことが一番の薬
以前、タレントの上沼恵美子さんが、夫の定年退職を機に「夫源病(ふげんびょう)」という病を患ったというニュースが話題となりました。妻の上沼さんは、夫を尊敬し愛していると結婚当初から話していたので、余計に驚きました。一般の家庭の妻は押して知るべしですね。
項目 | 原因 | 症状 | 対策 |
夫源病 (ふげんびょう) | 夫の言動によるストレス | めまいや動悸、胃痛、不眠、気分の落ち込み 妻の心身に不調をきたす | 夫婦にとって心地いい距離をとる 適度にストレスを発散させる |
男性更年期障害 (LOH症候群) | 男性ホルモンが著しく減少 | 意欲低下や行動力の減退と、ほてり・発汗・睡眠障害・抑うつ・イライラ・不安感など 女性の更年期障害と同じような症状 | 夫婦にとって心地いい距離をとる |
夫源病・・・男性更年期外来の医師:石蔵文信さんが名付け親 この病の解決策は、夫と距離を置き、適度にストレスを発散させること。上記の上沼さんも別居することで快方に向かったそうです。
また、男性にも上表のように更年期障害があり、体調がすぐれない時に妻からの小言があり、ゆっくり休めないこともありストレスがたまります。
定年後の夫婦がストレスなく過ごすためには、お互いにとって心地いい「つかず離れずの距離」をとることが一番だと思います。一定の距離をとることで、お互いの心に余裕が生まれ、相手に対する感謝の気持ちがよみがえるかも知れません。そして、相手の嫌な部分が小さくなり、逆に良い面が見えてくることもあるかもです。
偶然にも、実の姉夫婦が夫の母親の看病で別居しないといけない境遇になりました。月に1~2回お互いに行き来していたようです。実際の心情は分かりませんが、傍からは以前よりもいい関係に感じられたものです。私も、老後はこんな関係が理想だなと感心していました。
どう切り出していくか
次に、お互いにどう切り出していくかが問題です。そこで、大事にすることは下記内容のように、自身の望みを明確にすることです。
- 相手とどういう距離感なら心地いいか?
- 家事や家のことなど、どこまでなら気持ちよくできるのか?
例えば、上記項目をメモに書いてみるといいですね。具体的になります。実現できるかどうかよりも、希望を整理するだけでも、スッキリします。
何も言わずに始めると、相手も混乱するでしょう。不要なケンカや軋轢を生むハメになり、それはそれで面倒です。自分の希望は何らかの方法で相手に伝えることをおすすめします。いずれにしても大事なのは、「自分はこういう理由で〇〇したい」と、キッパリ宣言してしまうことです。
相手に「こうなってほしい」と要望するのではなく、「お昼はこれからは外で食べることにする」などと、自分のやりたいことを伝えるのがいいですね。
寝室を分けて熟睡しよう
一つの策として、寝室を分けてみてはどうでしょうか。「もし夜中にお互いの体の異変があったら……」と、同室に寝るシニア夫婦も多いです。しかし、夫婦それぞれ別室に寝たほうが熟睡できて、体調がよくなることもあります。
それは、相手のいびきや寝返りの音が気にならない上に、エアコンの温度や照明も自分好みに調整できるため、睡眠の質が上がり易くなるからです。
老年精神科医として、多くの高齢の患者さんを見てきた医師の和田さんは、「以前よりも寝つきが悪くなった」「途中ですぐに目が覚めてしまう」など、睡眠にまつわる悩みを非常に多く聞きます。
人は睡眠中に、疲労回復や体内の細胞の再生・修復が行われます。その為、質のよい睡眠がとれないと免疫力が低下することになるのです。
よって、睡眠の悩みを抱えている人は、自分がよく眠れる環境を整えることが大切です。お互い元気なうちに、夫婦で寝室を分ける喜びを味わってみてはどうでしょうか。
熟年離婚の実態
どうしても我慢できない場合は離婚という事も視野に入れなければなりません。厚生労働省の調査では、2020年に離婚した夫婦の中で、20年以上同居して別れる「熟年離婚」の割合が全体の21.5%を記録しました。
今や離婚する夫婦の5組に1組が「熟年離婚」という時代になっています。更にこの10年ほどで、同居期間が25年以上の離婚件数も急増しています。中高年夫婦の離婚が2倍以上に増えているそうです。
終活の最後は、1人です。少しでも互いの温かみを感じたいのであれば、離婚よりも「つかず離れず婚」を選びたいですね。
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まとめ
定年後は、全てにおいて一度リセットを考えるタイミングかも知れません。子供たちや家族のことも、一段落付く人が増えてきます。
人生100年時代と言われても、何の確証もないので、どうしても終活からの引き算の人生設計になってしまいます。その時に考えるのは、残り少ないので我慢の人生よりも好きなことをして納得のいく生き方をしたいという事です。
これは、夫婦共の考えになると思います。少なからずあった双方の横暴に耐えてきた人生だったと思います。それを解消させるのが、「つかず離れず婚」かもしれません。お互いを慈しむためにも考えてみる必要があるかも知れませんね。