五輪やプロのアスリートになるには、小さい時から始めた方が良いのでしょうか?
どうだろうね。特定の競技を専門にやった方が良いのか、多様な競技をする方が良いのか興味あるデータがあるので紹介しますね
子供の為にも参考にしたいので、宜しくお願いします
専門競技の早期育成について
近年、多くの国でスポーツエリート政策が展開されています。しかしながら、早期(13歳未満)に専門競技を始めることに疑問を投げ掛ける風潮もあり、スポーツ科学学術院 教授 広瀬 統一(ひろせ・のりかず)さんも問題点を述べています。
北京夏季五輪(2008年)出場選手へのアンケート調査結果
強化活動 | 種目 | 備考 |
超早期(7歳未満)から一貫した 強化スケジュール | 水泳、体操、フィギュアスケート | 全身を使った芸術性が高い種目 |
早期(13歳未満)に当てはまらない | 射撃、ボート、バレーボール | 12~15歳くらいで競技を選択 |
上段の超早期の取り組みは、全身運動で且つ芸術性が高く特異性を持った種目です。それ以外は、早期でない方が良い感じです。
国際レベルの選手と国内・地域レベルの選手との比較では、国際レベルの選手の方が幼少時代のスポーツ経験数が豊富で、12~15歳くらいで自分の適性に合わせて競技を選択しているケースが多いです。
また、幼少期からのスポーツ経験について2点問題点が上げられています。
問題点 | 理由 | 対策 |
繰り返しの動作による障害 | 筋肉や骨格が未発達なため、成人に比べて故障しやすい ⇒中学生(~15歳)までは、身長や体重など骨格の成長が著しい時期なので要注意 | 専門的なトレーニング(野球の投球など)にかける時間を他の運動に置き換える。さまざまな部位に負荷を分散させる方が良い。 特にゴールデンエイジ(9~12歳)では多様な運動をさせ、神経を刺激させる。 |
ドロップアウト バーンアウト(燃え尽き症候群) | 幼少期から専門競技をした選手はケガ等も含め、14歳頃からスポーツに対するモチベーションが下がり始める傾向にある ⇒自分の適性やけがのリスクで壁を感じる時期 | 1つの専門だけでなく複数のスポーツ経験は、物の捉え方の幅を広げ、将来への選択肢を増やす ⇒将来に対する的確な見通しを持つ力を養わせる |
子どもの将来の可能性の見極めや、専門的なトレーニングの導入時期について、「早ければ早いほどいい」と言われることは、科学的な根拠に欠けていると思われます。
○ある専門家の意見
目安の年齢 | 理由 | お勧めの運動 |
~15歳 | 運動神経の発達が終わる | 飛ぶ、跳ねる、転がる、投げる、打つ これら多くの運動を遊びの中で覚える |
13~14歳から | 体の成長期 | 体幹トレーニングを少しずつ取り入れる |
15歳くらいから | 体の成長が徐々に落ち着く | 専門的にトレーニングをしていく |
17~18歳 | 自分の適性が分かってくる | 競技を一つに絞る |
「15歳前後で運動神経の発達が終わりますので、その前までに様々なことをやった方が良いのです。17~18歳で、競技を一つに絞るのです」とあります。
上表の流れを、指導者は知って参考にした方が良いです。
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有名アスリートが取り組んでいた競技
名前 | 取り組んでいた競技 |
松井 秀喜 (元MLB) | 野球、柔道 (中学進学まで両立) |
ランディ・ジョンソン (元MLB) | 野球、バスケットボール (大学2年生まで両立) |
ジネディーヌ・ジダン (元プロサッカー) | サッカー、柔道 |
藤浪 晋太郎 (プロ野球:阪神タイガース) | 野球、水泳 (水泳は2~15歳まで継続) |
錦織 圭 (プロテニス) | テニス:5歳~ 水泳、サッカー、野球も経験 |
澤 穂希 (元サッカー女子日本代表) | サッカー、水泳 (水泳は3~12歳まで継続) |
荒川 静香 (プロフィギュアスケート) | スケート:5歳~ 水泳、バレエ、エレクトーン |
10,000時間問題の弊害
では、なぜ早期英才教育が必要かという話があるのでしょうか。
フロリダ州立大学のアンダース・エリクソン教授は「1万時間の法則」という説を提唱しています。彼の研究によると成功を収めているバイオリン奏者は幼少期から長時間練習を積んでいるというのです。
4つのグループに分けて調査を実施しました。
グループ | 現在の1人での練習時間 | 18歳までの総練習時間 |
音楽アカデミーでバイオリンを専攻する学生 +ソリストでして国際的に活躍する力あり | 3.5時間/日 | 7,410時間 20歳:10,000時間以上 |
音楽アカデミーでバイオリンを専攻する学生 | 3.5時間/日 | 5,301時間 |
音楽教育学部でバイオリンを専攻する学生 | 1.3時間/日 | 3,420時間 |
交響楽団のバイオリン奏者 | 7,336時間 20歳:10,000時間以上 |
卓越した技術の習得には、『10年以上にわたる10,000時間以上の計画的練習』の成果であると言われます。
この研究成果をもとに、マルコム・グラッドウェル氏が著書『天才! 成功する人々の法則』で「1万時間の法則」を強調したのです。
1日の平均練習時間を3時間と仮定し、10000÷3=3333.333(日)で、およそ10年間にあたります。
この法則をスポーツにも引用して、20歳から逆算して10歳前後の早期取組みになったようです。
20時間で達成できる?
10,000時間に対抗して、『たいていのことは20時間で習得できる』(日経BP、2014年)と人気ビジネス書を著したジョシュ・カウフマン氏が言っています。ちょっと過激ですね。
主な内容は、スポーツではなくビジネスに置き換えて考えています。
内容 | |
疑問点 | 10,000時間は8時間のフルタイムの仕事5年分に相当 ⇔業務の習熟度合いと照らし合わすと時間はかかっていないように思う もっと短時間でもいいのではないかと疑問に思う |
コツが必要な技術の習得 | ・イメージ:最初はものすごく伸び、そのあと減衰していく ・シミュレーション:コツを習得しようと思ったら20時間で済むことを発見 ⇒1日45分で27日間(約1か月)で習得可能・・・学校の1単元に相当 |
工場での学習(習熟)期間と生産性の関係を表すのに、エクスペリエンス・カーブを使います。
工場での学習期間とは、特定の作業を繰り返すうちに能率が向上し、作業の専門化が進むことです。このカーブはある一定の箇所まで来ると生産性が伸びなくなってきます。
この分岐点までにかかる時間が、20時間です。また、頂点に達するまでの時間が10,000時間と言われています。
また、テレビゲームなどのクリアする時間は、おおよそ20~30時間といわれています。
新しいジャンルで基本(コツ)習得に、20時間で可能と言えそうですね。その後の習熟度完成は10,000時間があるのでしょう。
匠(職人)の世界での修行に掛かる時間は、10,000時間が一つの目度なのでしょうね。
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10,000時間と20時間の考え方は非常に興味深いですね。職人の世界のように、これと決めたジャンルには、10,000時間を目標に修行を積むことが必要なようです。
それまでの幼少期からのスポーツは、(特定ジャンル以外では)いろいろな運動をした方が心身共に良いようです。その一つの目途が、20時間かもしれません。そして、体が出来た15歳くらいで自分の適性を考えて専門特化のスポーツを決めていくことができれば理想ですね。
現実的には、複数のスポーツをすることは金銭的にも難しいかもしれません。機会をうかがいながら、いろいろと試すことも良いかもしれませんね。知識があれば、アンテナも張れますから違いますよ。