昨年(2022年)のドラフト会議で、当初3名の選手が大阪桐蔭から指名されると予想されていたのに1名のみだったのは、何故なんでしょう
そうですね。甲子園では依然として実績を上げているのに不思議です。しかし、プロのスカウトの目は素人の予想とは違うのかも知れません。
イップス疑惑のある藤浪選手も確か桐蔭出身ですね。何らかの影響はあるのでしょうか?
最強世代の伸び悩み
大阪桐蔭は、高校野球ファンのみならず一般の方も知っている春夏の甲子園大会の常連校です。且つ常に優勝候補に挙がる強豪校で、プロ野球のドラフト会議でも常に話題を提供しています。しかしながら、最近は大阪桐蔭の話題の選手がドラフトで指名されないことが多く、もしかすると桐蔭離れが起きているのではないかとネットで騒がれています。関連記事がYouTubeで発信されていますので、それを基に考えていきたいと思います。
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2022年のドラフト実績
2022年は、大阪桐蔭高校として3名の指名候補に挙がっており、そして、2018年の春夏連覇・最強世代の桐蔭OBの大学生として2名の指名候補が話題になっていました。結果としては、下記表の様に高校生1名のみの指名となりました。
学年 | 氏名 | ポジション | 指名 | 備考 |
高校3年 | 松尾汐恩 | キャッチャー 178CM 83キロ | 横浜DeNAベイスターズ 1位指名 | アンダー18ワールドカップの代表、ベストナイン |
高校3年 | 川原嗣貴 | ピッチャー 188CM 85キロ | なし 社会人Honda鈴鹿へ | アンダー18 ワールドカップの代表 4試合13イニングに登板、防御率0.00で最優秀投手賞 |
高校3年 | 海老根優大 | セカンド 181CM 85キロ | なし 社会人SUBARUへ | 今夏の甲子園 打率:0.467 出塁率:0.667 アンダー18ワールドカップの代表 |
立教大4年 | 山田健太 | セカンド、内野手 183CM 86キロ | なし 社会人日本生命へ | 1年春:4番ファーストに抜擢、打率:0.375 2本塁打と活躍。 秋も打率:0.333、ファーストのベストナイン 2年目以降は徹底的に分析され、低迷 |
早稲田大4年 | 中川卓也 | サード 175CM 75キロ | なし 社会人東京ガスへ | 大阪桐蔭、早稲田共に主将を経験 大学3年の秋のリーグ戦:打率0.333と自己最高の成績、サードのベストナイン |
2018年ドラフト組の伸び悩み
2018年はドラフトで4名の選手が指名されました。
学年 | 氏名 | ポジション | 指名 | 入団後実績 |
高校3年 | 根尾晃 | ピッチャー、内野手 177CM 84キロ | 中日ドラゴンズ 1位指名(4競合) | 1年目:ショートで1軍出場 2年目:9試合、ショートではない 3年目:72試合、殆んど外野、188打席、打率0.178 4年目:ショートに再コンバー、2刀流開始。次年度以降は投手 |
高校3年 | 藤原恭太 | 外野手 181CM 80キロ | ロッテマリーンズ 1位指名(3競合) | 1年目:開幕スタメンデビュー、伸び悩み1軍定着できず 2年目:調子のいい期間はあるものの波が激しく1軍定着できず 3年目:7・8月・打率0.348、5HR、月間MVP 通年・打率0.217、5HR 4年目:49試合 126打数 打率0.209、1HR |
高校3年 | 柿木蓮 | ピッチャー 181CM 87キロ | 日本ハムファイターズ 5位指名 | 4年目(2022):プロ初登板 4試合に登板、内3試合を無失点、防御率2.08 2軍・・・27試合に登板、1勝4敗 防御率6.27 2022年オフ・・・戦力外通告、育成選手契約 |
高校3年 | 横川凱 | ピッチャー 190CM 98キロ | 読売ジャイアンツ 4位指名 | 2年目:プロ初登板 1試合に登板 3年目:2試合に1軍で先発登板 オフに自由契約、巨人と育成契約 4年目:支配下登録復帰 先発の機会を得ましたが、毎回先頭打者を許し4回途中5失点 オフに再度自由契約、巨人と育成契約 5年目:支配下登録復帰(背番号62) 4月23日の登板(5回59球・5安打2失点)でプロ初勝利 |
高校3年 大学4年 | 山田健太 | セカンド、内野手 183CM 86キロ | なし 立教大学に進学 2022:なし 社会人日本生命へ | 1年春:4番ファーストに抜擢、打率:0.375 2本塁打と活躍。秋も打率:0.333、ファーストのベストナイン 2年目以降は徹底的に分析され、低迷 |
高校3年 大学4年 | 宮崎仁斗 | 外野手 168CM 68キロ | なし 立教大学に進学 2022:なし 社会人トヨタ自動車へ | 1年春:1番スタメン 3年生までの通算打率:0.248 4年春:自己最高の打率:0.311をマーク |
高校3年 大学4年 | 中川卓也 | サード 175CM 75キロ | なし 早稲田大学に進学 2022:なし 社会人東京ガスへ | 大阪桐蔭、早稲田共に主将を経験 大学3年の秋のリーグ戦:打率0.333と自己最高の成績、サードのベストナイン |
その後の実績を一覧にまとめました。根尾選手は育成方針が定まらず辛い状況ですが、他の3人は、なかなか目が出ないという事で通常の下積み時代ではないかと感じます。その中で横川選手の5年目の1勝は、輝かしいですね。高校時代の3人の投手の中で1番早い勝ち星です。やはり、プロの世界は分からないですね。
スカウトの評価
ヤクルトで編成部長、阪神でスカウトの経験がある松井政則さんは、立教大の山田健太選手は大型セカンドが売りですが、身のこなしを含め、際立った特徴がない。華のある選手だが他の二塁手との比較論ではどうかというところ、篩い(フルイ)から落とされたということでしょう。中川選手はもともとC評価だったのかもしれません。
大阪桐蔭離れというよりも、プロで通用する何か抜きん出ている特徴が見つからなかったという事でしょうか。
大阪桐蔭の指導方針は、甲子園で勝って『日本一になる事』であり、プロで通用する選手の育成とはなっていません。自然と抜きんでた才能があれば、プロに行く選手も出てきます。西谷監督も、桐蔭出身でプロで活躍している巨人の中田翔選手、楽天の浅村栄斗選手、オリックスの森友哉選手は高校時代から抜きんでていてある種オーラが出ていたそうです。そのような目からすると、今回のドラフトは正しい評価であったとも言えます。
高校野球が特別視されて、その中の甲子園で目立っている高校の選手たちの活躍が印象に残り、素人の目ではドラフト対象に映るのかも知れません。
大阪桐蔭のドラフト実績
1988年に中日ドラゴンズに1位指名された今中慎二(いまなか しんじ)投手が大阪桐蔭としては初めてです。当時は高校の名前が、大阪産業大学高校大東校舎(現・大阪桐蔭高校)でした。それから、2022年までに43名の選手がプロ野球の世界に入っています。代表的な選手を一覧にまとめました。
氏名 | 生年月日 | ドラフト年 ー指名順位 | 球団 日本代表の経験 | 現役 |
今中慎二 (いまなか しんじ) | 1971年3月6日 | 1988ー1 | 中日ドラゴンズ | |
中村剛也 (なかむら たけや) | 1983年8月15日 | 2001ー2 | 埼玉西武ライオンズ | ○ |
岩田稔 (いわた みのる) | 1983年10月31日 | 2005ー社会人枠 | 阪神タイガース 日本代表(2009WBC) | |
西岡剛 (にしおか つよし) | 1984年7月27日 | 2002ー1 | 千葉ロッテマリーンズ→ミネソタ・ツインズ→阪神タイガース →栃木ゴールデンブレーブス→福岡北九州フェニックス 日本代表(2006WBC、北京五輪) | ○ |
平田良介 (ひらた りょうすけ) | 1988年3月23日 | 2005ー1 | 中日ドラゴンズ 日本代表(2015WBSCプレミア12、2017WBC) | |
中田翔 (なかた しょう) | 1989年4月22日 | 2007ー1 | 北海道日本ハムファイターズ→読売ジャイアンツ 日本代表(2013WBC、2015WBSCプレミア12、2017WBC) | ○ |
浅村栄斗 (あさむら ひでと) | 1990年11月12日 | 2008ー3 | 埼玉西武ライオンズ→東北楽天イーグルス | ○ |
藤浪晋太郎 (ふじなみ しんたろう) | 1994年4月12日 | 2012ー1 | 阪神タイガース→オークランド・アスレチックス 日本代表(2017WBC) | ○ |
森友哉 (もり ともや) | 1995年8月8日 | 2013ー1 | 埼玉西武ライオンズ→オリックス・バファローズ | ○ |
錚々たるメンバーです。イメージ的には、ホームランを打つ強打者が多そうです。技巧派は、西岡さんぐらいですね。やはり名前が残る選手になるには、1つでも秀でたところが必要なのでしょう。そして、長く続けるには、投手・打者とも互いへの探求心が必須のようです。これを怠るとすぐに弱点を突かれて潰されてしまいます。
実績として名前が残るには、ある程度の年月も必要です。森友哉選手以降も多くの選手がプロに入っています。今後の活躍を楽しみにしたいと思います。
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高校出で最初から実績を上げている人は、本当に稀です。肉体的にも、10代の後半はまだ成長期の可能性もあります。そこで、無理な酷使をすると伸びるよりも潰してしまうかもしれません。
ロッテの佐々木朗希選手は、本当にうまく成長している感じがしてなりません。そこと比べると、大阪桐蔭出身の藤浪投手の今は残念でなりません。入団当初は10勝以上の華々しい結果を残し、将来を嘱望されていました。実態は分かりませんが、当時の仲間からはトレーニングや育成について疑問視を持たれていたとも言われています。桐蔭の西谷監督も、藤浪投手はまだ体やフォームが完成されていない、と感じていたそうです。これらの話を総合すると、まずはしっかりと藤浪投手の育成計画を立てて育てていれば、今では大谷翔平選手に引けを取らない投手になっていたかも知れないのです。まだ、20代です。あきらめるのは早いかも知れませんね。
プロとして、ファンに夢を与えて欲しいものです。待ってます。