トップアスリートで心が病んでいる人が多くなっていると聞くのですが…。
どうもSNSと関係があるみたいです。本来好きで始めたスポーツが、苦痛に変わることがあるようです。
そうなんですか。何がスポーツをする人の心を傷つけるのでしょうか?
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フィギュアスケートの鈴木明子さんの苦悩
フィギュアスケート元日本代表の鈴木明子さんは、苦しい胸の内を下記の様に語っています。
「誹謗中傷と言うのは、真っ白な絵の具に黒いものが垂らされた感覚なんです」
ネット上での悪意のある言葉
- 老害
- 早くやめてしまえ
- フィギュアスケーターなのにスタイルが悪い、顔が悪い
☞ “自分は邪魔な存在では” と深く思い悩んだ
時期は、フィギュアスケートで2大会連続のオリンピック入賞を果たした時(2014年前後)でした。
<鈴木さんのメッセージ>
「アスリートも同じ人間。思いやりを持ってほしい」
心ない言葉によって深く傷つけられる選手は後を絶たない。
メディアに「摂食障害からの復活」という形で取り上げられた
鈴木さんが10代のころになった摂食障害を克服して競技を続けていったときに、メディアに「摂食障害からの復活」という形で取り上げてもらいました。
ー その報道に対して言われたこと ー
- 病気の名前を使った売名行為
※自分が本当に苦しんだ末に戻ってきた場所だったので
☞ 気持ちを踏みにじられた思いになり、悲しかった。
採点にも、順位にも影響しないのに「そう言われてしまうんだな・・・」と凹んでしまいます。
SNSの調査によると、ひぼう中傷の3割が競技に関係ない内容。容姿関係については1%程度。
真っ白な絵の具に、黒いものが垂らされたような感覚
鈴木さんは、実際にはひぼう中傷の書き込みは少なく、応援してくれる方が圧倒的に多かった。9割が応援するメッセージです。しかしながら、本人にとっては、ひぼう中傷に同調する声は大きく聞こえてしまうのです。
ひぼう中傷 を受けたときは “真っ白な絵の具に、黒いものが垂らされたような感覚” 。それは一瞬に広がってしまい、どんどんグレーに広がるような印象なんです。ポジティブに捉えたり考えることはすごく難しかった。
鈴木さんが一番心にグサっときたのは
●ソチ五輪前の日本代表枠を争っている時に届いた便せん何枚にも渡る手紙でした。
そのころ年齢的にかなり上だったので、引退の時期を考えていた時
●その手紙の内容
☞「おまえなんか早くやめてしまえ、老害だ」というようなひどい悪口が並んでいた。
それを見たときに、胃液が上がってくるような感じがありました。「自分が頑張ることで、嫌な思いをする人がいるんだ」ということが、すごく心にきてしまい「自分はもう邪魔なのかな」とも思いました。
状態 | 悪いメッセージのダメージ |
自分の調子がいいとき | マイナスの言葉は聞き流せる |
自分の調子が悪く、結果が出ないとき | マイナスの言葉は自分の心の中で大きくなっていく 心を侵食してしまう |
↑ 具体的には | ・すごく否定された気持ちになり、眠れなくなったりする ・パフォーマンスや練習の内容が落ちたりする ひどくなると、人前に出るのが怖いと感じたりする |
具体的には、すごく否定された気持ちになり、眠れなくなったり、パフォーマンスや練習の内容が落ちたりします。ひどくなると、だんだん人前に出るのが怖いと感じたりします。
救われたコーチの言葉
鈴木さんは、どうしようもなく滅入っていたので、コーチたちに相談しました。
明らかに落ち込んでいる状態に見えるのですが、コーチたちは笑って吹き飛ばしてくれたのです。
●「こういう心ない言葉を言うことは間違っているけど、見てくれているということはファンなのかもしれないね」
☞ 批判が事細かに反映しているのを見て、逆の印象を言い、笑い飛ばす。
●「応援してくれる人のほうが、はるかにたくさんいることを忘れたらダメ」
☞ 9割が応援するメッセージ
すごく救われました。自分のことを応援してくれる人たちのために、頑張るようにしようと思えました。
☆☆ 批判をしてくる人たちに “どうしたらよく思われるんだろう” と考えるより
☞ 応援してくれる人たちを大切にするという気持ちを持つ ことに変わった
SNSは “諸刃の剣”
コロナ禍でアスリートたちは、SNSで周りと繋がり・モチベーションの向上に役立てています。
しかしながら、同時に、ひぼう中傷も “0” ではないので、自分のメンタルが崩されてしまう可能性もあります。
「覚悟」というと大げさですが、ある程度のバリアを張っておく。良い声だけではないということを理解しておかないといけない。
自分がもし揺らいでしまうなと思ったら、そういう環境からはあえて距離をとることも必要かなと思います。
応援する人が気を付けること
応援する人が気を付けることは、ひとことで言えば「思いやりをもつこと」につきる。
期待をしているからこそ、上手くいかない時に “裏切られた” と思う気持ちがひぼう中傷につながっていくのです。本人は、それがひぼう中傷だと思わずに、言っていることが多いと思います。
でも、アスリートも同じ人間なんだ、超人ではないんだということを、感じてほしい。
「アスリートは心が強いだろうから、何を言っても大丈夫だろう」なんてことは何一つない。一つのことを極めているから心が強いなんてことはないです。
一つのことを極めていくからこそ、もろい部分や弱い部分がたくさんあります。それでも、なんとか強くなれるように頑張っているのがアスリートなのです。
その送信ボタンを押す前に、いま一度、冷静に考えていけたらと思います。
まとめ
トップアスリートは、一般人では想像もつかないくらいの応援と、それに反したひぼう中傷が周囲にうごめいているようです。
SNSが流行っている昨今は、より過激になっているかもしれません。
SNSは使い方を間違えればイジメの道具になりますので、投稿する人もおおいに相手の事を考えて、送信ボタンを押さないといけませんね。送信先で応援する人が泣いているかもしれません。
できれば応援する方もされる方も、双方が気持ち良くなる応援をしたいものです。